2003年大阪国際女子マラソン 2003年1月26日 長居陸上競技場発着

大阪国際女子マラソンは、今思い返してもすごい戦いでしたねー。野口みずき選手、千葉真子選手、山中美和子選手という、前半からぶっとばしそうな(笑)メンバーが揃ってたし、激戦&高速マラソンになるだろうなーとは思ってましたが、よもや3人が2時間21分台でゴールするとは…って感じです。
レースは、スタート直後から速い展開になりました。ペースを作っていたのは、実質初マラソンの山中選手。先日の駅伝の好調さを、そのまま維持してましたね。しかも、その速いペースにもかかわらず、先頭集団には有力選手が全員入ってるんですよねー。優勝候補の筆頭・野口選手は、山中選手と並ぶように前のほうで引っぱってるし…。対照的に、千葉選手が集団の最後尾につけていたのは、昔の、常に先頭に立ってレースを作っていた彼女からすると、ちょっと意外な感じも。でも、調子は良さそうだし、とりあえず最初はついていく作戦なんだろうなーと思って見てました。
有力選手で最初に集団からこぼれたのは、藤川亜希選手でした。あまりの速さに自重したんでしょうか。故障明けということで、完調ではなかったのかもしれません。でも、あとのメンバーはほとんど落ちることもなく、レースはあっというまに中盤、折り返し点へ…。
ところが、ここで思わぬ事態が起こりました。スタミナ的に苦しいだろう…と見ていた田中めぐみ選手に続いて、なんと山中選手が遅れ始めたのです。前半、あれだけ好調さを見せつけていたにもかかわらず、あまりに急激なペースダウン。みるみるうちに彼女は先頭集団から置いていかれてしまいます。これは、身体になにか異変が起こったにちがいない、と思いました。それが腹痛とかだったら、回復すればまた取り戻せるかもしれないけど、どうもそういう類の変調ではなさそうでした。
あとから、それは折り返し点で脚を痛めたため、ということがわかりましたけど、レースを見ている最中は本当にハラハラしました。結局彼女は25km付近で棄権してしまいましたが、アクシデントさえなければ優勝の行方にだって影響があったかも…と考えると、本当に残念でしたね。
そんなこんなで、レースは大阪城へ。このあたりにくると、さすがに終盤にさしかかったなーという感じがするんですよねー。ここで、予想以上の健闘を見せていた小崎まり選手が苦しそうになり、城内を出たあたりからついに遅れ始めてしまいます。対照的に、それまでほとんど目立たなかった坂本直子選手が、徐々に存在感を増してきました。
これは驚きでした。私も、注目選手のひとりに挙げていたとはいえ、ここまでついてこれようとは思ってもみなかったのです。しかも、30kmを過ぎたあたりでは、自ら先頭に立ってレースを作り始めます。「ただ者ではない」と思いました。初マラソンで、この超ハイペースについてきて、しかもレース終盤で前に出るとは…!
そして、ここで前年優勝者のキブラガト選手が脱落。ほどなく、今度は千葉選手が遅れ始めます。彼女の復活を願う私としては「もうちょっとがんばってくれ〜」と思ったのですが…。まだわからない…けれど優勝の行方はほぼ、野口選手と坂本選手に絞られました。
そして、37kmを過ぎたあたりだったでしょうか。ここから野口選手が本領を発揮しはじめました。彼女が軽くスパートをかけると、坂本選手は一瞬置いていかれそうになります。しかし、すぐに後ろにつき、またもや2人の競り合いは続きます。
そして、ほどなく野口選手の二度目のスパート。今度はもうスピードは緩めず、力強い走りでぐいぐいと坂本選手を引き離していきます。粘る坂本選手。けれど、野口選手はさらにスピードを上げ、ここで坂本選手もついに力尽きました。勝負はついたのです。野口選手はそのままゴールまで突っ走り、2時間21分18秒という日本歴代2位の好タイムをたたき出したのでした。彼女は速かったけど、なにより強かった。すばらしいレース運びでした。
さて、後方では千葉選手の追い上げが始まっていました。3位争いをしていたキプラガト選手をあっというまに引き離すと、前を走る坂本選手にどんどん迫っていきます。坂本選手がかなりペースダウンをしていたのもあってか、千葉選手は競技場手前でついに逆転。坂本選手に、つく力は残っていませんでした。
結局、千葉選手は2時間21分45秒の2位でゴール。「世界陸上の代表になるために、少しでもいいタイムでゴールしたかった」という彼女に、どん底から復活してきた者の強さを見た気がしました。また、坂本選手は6秒遅れの2時間21分51秒。脅威の記録、といっていいでしょう。もちろん、初マラソン日本最高です。この2人に、負けた悔しさはありませんでした。彼女たちのさわやかな表情が、見ている私たちにいっそうの満足感を与えてくれたのでした。
規定により、野口選手は世界陸上代表に即内定。千葉選手と坂本選手も有力候補に浮上しました。すでに内定している東京国際2位の松岡理恵選手とあわせて、決定は5枠のうちのふたつ。残る名古屋には渋井陽子選手や大南敬美選手が参加します。そこで日本人トップ(&2時間26分切り)の選手には代表内定が出るとして…日本人2位の選手はかなり厳しいでしょう。名古屋で21分台を出すのは、不可能に近いかもしれないです。おそらく、千葉選手と坂本選手が残りの枠を占めるのでしょうね。
しっかし、21分台で走る選手がこれだけ続々と出てくると、土佐礼子選手や渋井陽子選手だって安閑とはしてられないって感じですね。渋井選手が初マラソンで23分台を出し、大注目されたのはわずか2年前。今回、小崎まり選手だって同じ初マラソンで23分台を出してるにもかかわらず、ほとんど注目されてないんですから…。来シーズンの五輪選考レースが、楽しみだけどどうなるのかちょっと恐いって気もしてくるのでした。正直、高橋尚子選手だって安泰じゃないわ。

【事前のみどころ】
11月の東京国際は、高橋尚子選手の欠場でちょっと気抜けした感じになってしまいましたが、今回の大阪ではかなり熱い戦いが繰り広げられる予感。オリンピックへ向けての戦いは、始まってますからねー。というわけで、以下、いつものように「アテにならない予想」をしてみました。
世界陸上の切符をとるためには、まずは「日本人トップ」にならないと…なんだけど、女子は完全にみんな「優勝」狙いでしょう。つーか、日本人のなかでトップなら良し、という考えでは勝てないと思います。なかでも最有力は…むずかしいけど、やっぱり野口みずき選手でしょうか。「ハーフマラソンの女王」は「フルマラソンの女王」になれるかどうか…なんですが、初マラソンの昨年の名古屋では見事に優勝。ただし、タイムは2時間25分台と、いってみれば並のレベルにとどまりました。まあ、名古屋は風の影響も大きいので、今回の大阪を見てみないと…というところですね。身体は小さいけどものすごい負けず嫌い、って感じの走りは見てて気持ちいいです。
お次は、持ちタイムでは国内トップの千葉真子選手。あわや引退の危機も乗り越えての大阪登場です。旭化成をやめて、現在は小出監督のもとでトレーニングを積む彼女ですが、その後も貧血とか小さな故障はあったみたいですね。ですが、それでもこうやって仕上げてくるあたりが、小出マジックなのでしょうか。昨年春のロッテルダムでは2時間25分台で2位に入ってはいますが、あそこは比較的簡単なコースだし、もう少しいい記録でゴールしたかったところ。あの時点から、どのくらい調子を上げてきてるか、でしょうね。後半の落ち込みがなくなってれば…なんですけど。
藤川亜希選手は、駅伝をよく見る人にはおなじみ。いつも日本代表メンバーで走ってますからねー。日本代表、つまりは実力のある選手だし、マラソンでも常に日本勢の上位にはくいこんでくるのですが、優勝するには少し足りないという感じでした。今回も、序盤は当然トップグループに入ってるでしょうが、その位置をどこまでキープすることができるか…です。
後半の落ち込み、という点では田中めぐみ選手も、かな。彼女はトラックでの実績は抜群。五輪代表にもなってます。ただ、マラソンとなるとやはり苦しいのか、後半まで持ちこたえられないんですよね。今回も厳しいかなー。もしついていけたら(つけるペースだったら)、スピードはあるのでチャンスは出てくるとは思いますが…。
小幡佳代子選手は、持ちタイムでは千葉選手の次だけど、最近のレースの出来から見て日本人1位は難しそう。坂本直子選手と小崎まり選手は、走りを見てみないとわかんないけど要注目。
それから、忘れちゃいけない山中美和子選手! 今回が初マラソンですが、先日の都道府県女子駅伝でも1区で区間新を出して好調さをアピール。今まで何人もが挑戦して果たせなかった区間での、新記録ですからねー。しかも、マラソンに向けての練習もかなり積めている様子。初マラソンですから多少の不安はありますが、彼女に関しては期待のほうがはるかに大きいですねー。
あ、外国招待選手のことを忘れてました。昨年の優勝者、ケニアのキプラガト選手が出るんだった。2時間22分台の持ちタイムは、当然ながら参加選手中トップ。彼女がどういうレース運びをしてくるか…が、日本人のトップ争いにも影響を与えそうです。あと、中国の劉敏選手は、持ちタイムは2時間23分台なのですが、アジア大会では途中棄権してるしあまり期待できなさそうです。
やたら長くなっちゃいましたけど、とりあえず私の注目点はこんなところです。ただ、全然名前をあげてない選手がポッと優勝をさらってしまったら…そのときは笑って許してやってください〜。でも、本当にそんなことがあったら、かなりおもしろいんですけどねー。

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