2003年スーパー陸上競技大会 2003年9月23日 横浜国際総合競技場

世界選手権のメダリストが集合して、「スーパー陸上2003ヨコハマ」が行われました。とまあ、こう書くとかなりレベルの高い戦いになったような感じですが、実際は全体になんとな〜く気抜けしたような雰囲気に終始してしまいました。選手にしてみれば、世界陸上でシーズンは半分終わったみたいなもので、続くファイナルでほとんど完全燃焼しちゃってるから…。日本には「燃えかす」の状態で来てるのかなー。物見遊山が目的の選手も多かったと思います。例年、こういう傾向はありますが、今回は特に顕著に表れたような気がしました。
記録の点でも、気温が低かったこと、風が強かったことなどがあって、全体に低調に終わりました。最大の注目種目・ハンマー投げでも、80mを越えたのは室伏選手だけですからね。ただ、室伏選手にしてみれば、世界歴代3位を記録するなど絶好調だったシーズン前半とはうらはらに、後半はもどかしい試合が続いただけに、「ここでいい投擲をして、今季をしめくくりたい」という気持ちが強かったんでしょう。今回も、一投ごとに修正を加えていって、徐々にいい投擲になってました。
室伏選手の場合、投擲のあとの雄叫びと動作で、投げの良し悪しがなんとなくわかるんですね。最後の6投目のときはハンマーの行方をずーっと見てたので、「これは行ったかな?」とちょっと期待したんですけど、残念ながら80mを少し越えたあたりに落下。体調はそこそこ戻っているようでしたけど、気温の低さがネックになってしまったみたいですね。それでもきっちり優勝するあたり、どんな試合でも手を抜かない室伏選手らしいなーと思いましたけど。
金メダリストのティホン選手は、まさに「来ただけ」でした。動きが世界陸上のときとは全然ちがってましたから。まあ、彼の場合は狙ったところだけ記録を出せればいい、というスタンスなんでしょうけど。それに、体調もかなり良くなかったとか。
それから、モンゴメリ選手が出るということで、この試合のメインレースの扱いだった男子100mは、バルバドスのトンプソン選手が絶妙の(というか、完全にフライングに見えた)スタートで前半から飛び出し、そのまま逃げ切りました。トンプソン選手のタイミングがあまりに早かったので、ほかの選手は「フライングだ」と思って、一瞬スピードを緩めたのかもしれません。なんだか、すっきりしないレースでした。
朝原選手は3位に入りました。タイムは良くなかったですけど、これは状況からみて仕方ないところでしょう。今季は前半から感じが掴めなかったようで、世界陸上に間に合うのか心配されましたけど、そういう状況にもかかわらず、しっかり準決勝にまで進出したのはお見事。なんといっても日本短距離界の大黒柱ですからねー。このオフは、アテネに向けたトレーニングをしっかり積んでほしいです。
110mハードルの内藤選手も良かったです。条件の悪いなかでもちゃんと13秒台で走ってこられるあたり、日本選手では完全に抜けた存在になったなーと思いました。あと、400mハードルで3位に入った吉形政衡選手もがんばってました。今、この種目は為末選手とほかの選手の間がちょっとあいているので、こういう若い選手が出てきてくれたのはうれしいですね。
それから、男子走り高跳びで2m25を跳んだ真鍋周平選手は、所属が大阪大学で、「なんで阪大に強い選手が…?」とびっくり。インターハイでは優勝経験あり、ということでそのへんは納得したのですが、現在はコーチなしで練習しているそうです。それで日本人トップの成績をとれるんだから…。今、日本には走り高跳びの有望選手がほとんどいない状況なので、意外な活躍にちょっと心が躍りました(笑)。
ほかにもいろいろレースは行われましたけど、今回はどうも筆が進まないです。興奮させられるレースが少なかったのが原因かな。それに、男子100で明らかなフライングをとらなかったり、女子400mハードルでハードルを置く位置をまちがえてレースが不成立になるなど、進行に問題が多かったのもあると思います。ハードル置きまちがいなんて、こんな大きな大会では聞いたことないですからね。

【事前のみどころ】
23日にはスーパー陸上が開催されます。今季、外国の一流選手を見られるのは、これが最後のチャンス。まあ、世界陸上も終わって、エキシビション的な色合いの濃い大会ですけど、顔ぶれはまちがいなく豪華なので、陸上に少しでも興味がある方はぜひご覧になってほしいです。
いちばんの注目は、室伏広治選手かな。世界陸上では、ケガと戦いながらも銅メダルを獲得。現在は、本人いわく「普通に投げられる」状態だそうなので、できれば世界陸上金メダリストを上回ってほしいです。
あと、男子100には、メダルに届かなかった世界記録保持者、ティム・モンゴメリ選手も出場。末續選手が出ないのは残念ですが、朝原選手の今季の締めくくりの走りは、しっかり見ておきたいです。
それから、男女の5000mも楽しみな種目です。女子には福士選手、渋井選手、田中選手の10000m代表組が揃ってエントリーしてるし、男子のほうでは3000m障害で決勝進出を果たし、「あっ」と言わせてくれた岩水選手の名前があるのはとっても楽しみ。
ただ、陸連の発表資料が今月5日のものなので、本当にみんな出てくれるのかどうかちょっと不安なんですけどね。あとは、記録のためにも気温が下がりすぎなければいいなーと思ってます。

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