2003年全国高校駅伝競走大会 2003年12月21日 西京極陸上競技場発着

全国高校駅伝は、男子が仙台育英、女子は須磨学園の優勝で幕を閉じました。
兵庫県のチームを応援する私にとって、女子はとてもうれしい結果となってくれました。1区から須磨学園、県立西宮とも上位につけ、2区では早くも両校が抜け出します。その後、県立西宮は少し順位を下げましたが、須磨学園はタスキを渡すたびに差を広げる…という感じで、まったく危なげのないレースを展開。終わってみれば1時間7分46秒という、歴代4位の好タイムで初優勝を果たしました。
須磨学園は、昨年までは毎年優勝候補に挙げられながら、ほんの少しの差でいつも逃してきたんですよねー。でも、今回はその鬱憤を晴らすかのような圧勝で、ここまで差をつけて勝てたことに驚きました。筑紫女学園が1区途中で遅れてしまったのも、須磨学園を楽にしてくれましたね。
また、県立西宮も最終区で追い上げて3位に浮上し、兵庫県のレベルの高さを改めて見せつけられた感じです。この学校は、マラソンの坂本直子選手の出身校なのですが、県予選ではいつも須磨学園の前に全国大会出場を阻まれてたんですよね。今回は記念大会ということで、近畿地区代表としてようやく初出場。でも、それで全国3位ですから…。こんなに強くても、来年からはまた出場できなくなってしまうのかなあ?
…とまあ、女子はこのように最高の結果(私には)で終えたのですが、男子は…かなり悔しいレースになってしまいました。
1区は留学生4人が早々に抜け出し、トップ争いを繰り広げる予想どおりの展開。でも、佐久長聖の上野裕一郎選手は、それになんとかくらいつこうとするすばらしい走りを見せてくれます。1区では日本人初の28分台(28.54)を記録し、5番目でタスキリレー。優勝候補の一角・西脇工も、エースの北村聡選手が前半はなんとか上野選手についていったのですが、後半で徐々に引き離され、中継では30秒以上の大差をつけられてしまいました。
トップは下馬評どおり仙台育英のワンジル選手。28分04秒で走られては、とうてい日本人高校生に太刀打ちできるものではありません。あのコースをこのタイムで走れるのは、実業団の選手でもそう多くはないでしょう。結局は、この1区での結果が、残りのレースの大部分を決めることになりました。
2区以降は、仙台育英以外で留学生を起用した学校は、予想されたとおり早々に後退。そして、前半に強い選手を集めた佐久長聖が、トップを走る仙台育英を追いかけます。ですが、誤算だったのが西脇工でした。1区でのトップとの差は1分26秒。これを2区で少しでもつめる…はずでした。それが、2区を走った長谷川選手が区間35位の大ブレーキ。前との差が大きすぎて、焦りが出てしまったのでしょうか。しかし、3kmの短い区間で20秒以上も離されてしまったのは致命的でした。
その後も西脇工は、順位こそ3位に上げましたが、タイムは少しずつ離されていきます。2位を走る佐久長聖は、4区の佐藤悠基選手が22分44秒の驚異的な区間新をマークしたものの、仙台育英との差はそうつまりません。今年の仙台育英は、強いとは聞いていましたが、日本人選手がここまでやれるとは思ってもいませんでした。終始トップで気持ちよく走れたのも、力を出し切れた要因かもしれません。
結局、仙台育英は2時間2分7秒の大会最高記録でゴール。佐久長聖は、心配された5区以降も善戦して2位を保ち、仙台育英との争いが期待された西脇工は3位となりました。正直、かなり悲しいレース展開でした。
もちろん、今回の仙台育英は強すぎたし、西脇工が負けたことについては、しかたがないと思っています。でも、途中でじりじりと離されていく、なんとももどかしい感じ…。仙台育英を上回ったのは、わずか2区間のみ。追い上げる予定だった区間で、ことごとく遅れをとってしまったのは残念でした。仙台育英のタイムを見れば、差をつめるのが容易でないのはわかります。でも、全体に焦りが見える走りだったような気がしました。
さんざん議論されている「留学生起用の是非」については、特に言うことはありません。日本に来たからこそ、才能を開花させることができた選手もいると思うし。それでも、あえて一言だけ書かせてもらうなら、「こんなレースは見ていておもしろくない」ということでしょうかね。

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