2004年全日本実業団対抗駅伝競走大会 2004年1月1日 群馬県庁前発着

元旦恒例の全日本実業団駅伝、勝ったのは「対抗」と見られていた中国電力でした。コニカミノルタの4連覇はかたいと思っていたんですが…。まさかまさかの5区での逆転劇でした。
コニカミノルタは、2区でエース・坪田智夫選手が快走。中国電力の油谷繁選手がしばらくは並走しましたが、それも途中までのことでした。坪田選手は、その後もどんどん後続との差を広げていき、正直いってここで「勝負あった」と思いましたね。
ですが、中国電力は粘り強かったです。4区の内冨恭則選手は、コニカミノルタのムツリ選手からそれほど離されずに、5区の佐藤敦之選手にリレー。そして、佐藤選手がここから怒涛の追い上げを開始したのでした。
ただ、コニカミノルタの松宮祐行選手が、あれほどあっさりと抜かれてしまうとは思ってもみませんでした。双子の松宮兄弟は、これまでコニカの優勝を決定づけるような走りを何度も披露してきたし、マラソンならともかく、駅伝では佐藤選手とそれほど力の差はないと見ていました。
でも、佐藤選手はまさに絶好調でしたね。特に後半の表情は、作った微笑みじゃなくて、自然に笑みがこぼれてくるような感じで、相当気持ち良く走ってるんだろうなーと思わせられました。松宮選手も入りの1kmは速かったんで、そんなに不調というわけではなかったんでしょうけど…。なんで失速しちゃったのかなー。どうも最近の松宮祐行選手は、ちょっと兄の隆行選手との差が開いているようなのが気になります。
結局、この区間で勝負は決まってしまいました。中国電力は、6区の木村康二選手も区間賞をとる走りで差を広げてアンカーの梅木蔵雄選手につなぎ、最後は余裕でゴール。タイムは4時間47分3秒でした。コニカミノルタも、7区の前田和之選手が区間1位の走りで少しは差を詰めたんですが、結局は2分2秒遅れの2位。3位はギタヒ選手が3区で順位を押し上げた日清食品、そして旭化成が復活を感じさせる4位に入りました。
それにしても、あれだけ「磐石」と思われていたコニカミノルタも、1人のブレーキで優勝を逃してしまうんですよねー。そこが駅伝のおもしろいところなんですけど。
これで、このあとの選考レースも、いっそう楽しみになってきました。びわ湖に出てくるはずの佐藤選手が、マラソンでもこの日のような走りを見せることができるか…。駅伝の成績をそのままマラソンの結果に当てはめることはできないですけど、とりあえず好調なのは確かみたいですから。あと、油谷選手も、スピードで勝る坪田選手に離されはしたものの、途中まではちゃんとついてましたよね。やっぱ東京国際は、油谷選手が日本人1位をとるのかなぁ?
それから、旭化成の小島忠幸選手も2区で20人抜きを演じてくれて、福岡の「復活」は確かなものだったと確信させてくれました。こちらもたぶんびわ湖に出てくるでしょうから、楽しみが増えましたねー。
あと、同じく2区で20人抜きした日産自動車の上岡宏次選手にはびっくり。西脇工出身ということなんですが、「こんな選手、いたっけ?」と思ってしまった…。で、さっそく調べてみたところ、上岡選手は現在25歳で、全国高校駅伝では2年と3年のときに優勝しているのですが、やはり彼はレギュラーメンバーには入ってない(そりゃ、いくら私でも知らんわな〜)。
そして東海大に進み、4年次には主将となるも、箱根直前に体調を崩して本番は走れず。卒業後は2年間、非常勤講師などのバイトをしながら走りつづけてきたとか。うーん、人間いつ芽が出るかなんて、本当にわかんないもんですよねー。西脇工での上岡選手の同級生には、ずいぶんと期待された選手が3人もいたんですけどね。今は名前を聞くこともないです。そして、当時は補欠だった上岡選手が、今回大活躍を見せたんですから…。
まあ、お父上がノーリツの監督の上岡氏ということで、そちらはさすがに知ってるし、指導してくれる人が身内にいた?のが良かったのかな。次は都道府県駅伝に出るらしいので、また注目したいです。
それから、故障明けでどのくらい回復しているのか不安だったホンダの藤原正和選手は、意外にも後半のエース区間である5区に登場。もう少し距離の短い、つなぎの区間に起用されると予想していたのですが…。さすがにまだ、この区間は荷が重かったかも。選考レースを走るとしたらびわ湖になるでしょうけど、今からどこまでピークにもっていけるかなぁ。
それから、忘れちゃいけないカネボウの高岡寿成選手。最終の7区に出てきて、区間2位というまずまずの走りをしてくれました。福岡の疲労はまだ抜けていないと思うのですが、それにしては悪くない結果かな。まあ、走っているところがほとんど映らなかったので、なんともいえないんですけどね。「もう一度選考レースに出る」と明言した高岡選手ですが…。びわ湖?での走りが注目されます。

【事前のみどころ】
ニューイヤー駅伝は、元旦の楽しみのひとつというよりは、興味の中心。そんな私の注目点をあげるなら…。まずは、世界陸上のマラソンを、残念ながら欠場してしまったホンダの藤原正和選手。順調に回復していて、ここでようやくレースに復帰するはず。今回どのくらい走れたかによって、選考レースへ出場するかも決まってくると思います。注目したいです。
優勝については、コニカミノルタでかたいんではないかと。つーか、強すぎますもん! 坪田智夫選手、松宮隆行選手をはじめ、日本の一線級ランナーが揃ってますからねー。対抗馬は、世界陸上マラソンに3人を送り込んだ中国電力、徳本一善選手、ジュリアス・ギタヒ選手などが名を連ねる日清食品…くらいかなー。
あとは、東京国際、びわ湖毎日に出るであろう選手の調子を、よく見ておきたいです。もちろん、駅伝で走れたからマラソンも、というわけにはいきませんけど、どれくらい調整できているか…はわかるんじゃないかな。

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