2004年全国都道府県対抗男子駅伝競走大会 2004年1月18日 

都道府県対抗男子駅伝は、長野が中高生の作った貯金を生かし、2時間20分8秒で初優勝を飾りました。私の応援する兵庫は、最終区で激しく追い上げたものの、あと一歩届かず2位。でも、久々に大興奮させられた、見応えのあるレースとなりました。
序盤の1、2区は長野、京都、兵庫の争いでした。3区に入って兵庫の藤井周一選手が抜け出し、一時は2位以下に10秒の差をつけるも、後方から福岡の三津谷祐選手が猛烈な追い上げを見せ、3区の中間点を過ぎたあたりでトップに踊り出ます。藤井選手も粘りましたが、スピードに勝る三津谷選手は残り1kmから徐々に引き離しにかかり、500mを切ったあたりで猛然とスパート。中継点では兵庫に11秒の差をつけて、タスキを渡します。
なんでも三津谷選手の400mの持ちタイムは50秒を切っているんだそうで、とても長距離ランナーとは思えないスピードに驚きました。高卒1年目のルーキーなのに、今からこんな走りができるなんて…!
続く4区の高校生区間では、トップ福岡と兵庫の差はほとんど変わらず。わずかに兵庫が詰めた程度で、レースは5区へと移ります。この時点で3位以下は熊本、京都、長野の順となっていました。
勝負のカギとなったのは、まずはこの5区でした。首位を走る福岡に兵庫が追いついて併走しているあいだに、うしろからどんどん長野の上野裕一郎選手が迫ってきたのです。そして、並びかけたかと思うとあっという間に抜き去って、5番目から一気にトップへと躍り出てしまいました。昨年、この区間の区間記録を出している上野選手ということで、予想された展開ではありましたが、あまりの実力のちがいにしばし唖然…。ところが、上野選手はトップに立ったあとで腰痛を起こしてしまい、さすがにスピードは少し鈍ったようです。それでも、2位グループの兵庫、福岡、熊本に20秒近くの差をつけてタスキを次へ渡しました。
6区に入っても、長野のトップは変わらず。2位集団ではラストで兵庫が少し遅れ、アンカーへ中継した時点では、長野、福岡、熊本、兵庫の順となっていました。
そして最終の7区。ここでの注目は、先の実業団駅伝で20人抜きをなしとげた、兵庫の上岡宏次選手に集まっていました。元旦の走りをここで再現できれば、1位の長野との25秒差はひっくりかえすことは可能です。ただ、上岡選手が今回もそれほどの走りができるかどうかは、ちょっとわからないところもありました。
上岡選手は、前半は自重気味にレースを進め、3位の熊本との差をキープします。ただ、ここでトップとの差が微妙に開いてしまったのは計算外だったかもしれません。
上岡選手は、6kmを過ぎたあたりでスピードを切り替え、追い上げ体勢に入りました。3位熊本、2位福岡を吸収しながら、どんどんトップへと迫っていきます。先頭の中継車の映像からは、明らかに2位集団が接近しているのが見てとれました。しかし、当然ながら残された距離は減ってくるのです。タイム差と距離を考えると、勝敗の行方は非常に微妙な感じに思えました。
そして、ラスト1km。ここで上岡選手はスピードを上げました。それまで、おそらくは必死にくらいついていた熊本の松下龍治選手が、みるみるうちに引き離されていきます。トップの長野を逆転できるとしたら、もう兵庫しかありません。上岡選手は、手を伸ばせば届きそうなところまで、長野に迫ってきていました。
ですが、さすがにここまで追い上げてきた上岡選手には、余力はほとんどなかったようです。レース後のインタビューで「残り1kmは本当にきつかった」と言っていましたが、残り500mを切ったあたりからは、前との差は詰まらなくなっていました。
結局、長野が最後までトップをキープしてゴール。2位は兵庫、3位は最後で熊本を再逆転した福岡、4位は力尽きた熊本、となりました。
こうして、私の応援する兵庫は負けてしまったのですが、こんなに手に汗握るレースは久しぶりのことでした。見ていて本当におもしろかったし、今回に限っては、負けてもそんなに悔しくないのです。それに、上岡選手の走りもたっぷり見られたし。満足度はかなり高い大会でした。
あと、最終区にはスター選手がかなり走ってましたね。地元広島の徳本一善選手は、思ったほどタイムを伸ばせず。区間5位で、順位を7位から6位に上げただけにとどまりました。それから、今回は東京の選手として走った坪田智夫選手は、37秒19の区間新で、チームを23位から9位にまで押し上げました。うーん、さすが…と思ってたら、それがなんと、坪田選手の記録は区間2位…! 坪田選手のタイムを10秒も上回ったのは、高知の大島健太選手でした。昨年10000m27分台の記録を出して、今、注目度急上昇の選手なのですが、この区間新で27分台はダテじゃない…と思わせてくれました。
アテネの10000m代表選考も、マラソンに劣らず楽しみになってきました。

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