2004年国際グランプリ陸上大阪大会 2004年5月8日 長居陸上競技場

やたらと天気が良くて暑いぐらいだった土曜日、観戦の友あきべ嬢と「国際グランプリ陸上大阪大会」を見に行ってきました。この大会は、毎年のように生観戦をしているのですが、はっきりいって、こんなに埋まった観客席を見たのは初めて!というほどの盛況ぶり。グランプリ競技の開始は1時で、いつもなら12時ごろに現地に着けば、余裕でゴール手前(一番いい位置)の最前列か2列目あたりに座れるのですが、今回ばかりはそうはいかなかったですねー。いちおう「オリンピック前だし」と、11時半ごろには着くようにしたんですけど、それでもすでに最前列は埋まってしまってて、私たちはなんとか3列目に空いた席を見つけてもぐり込み(笑)ました。
ついでにいうなら、開始の1時には、ふだんなら最後まで空席が目につく100mのスタート付近も、前のほうのブロックはぎっしり…って感じになってて、かなり驚きましたねー。聞こえてくる会話も、「いつもは来ない人が来てるんだなー」と思わせるようなものが多かったですね。てなわけで、前置きはこのくらいにして競技の感想にいってみます。ただ、席から遠いところで行われてたフィールド種目については、ほとんど見てないものもあるので、そのへんはすみませんが飛ばさせてもらいます。

■女子4×100mリレー
トラック競技で最初に行われたのは400mリレー。女子は、五輪に出場するためには、絶対に日本記録を出したかったこのレース、日本チームが見事に目標を達成してくれました。これまでの日本記録は44秒10で、なかなか44秒の壁が破れなかったのに、あっさりと(に見えた)43秒77で走って大幅な記録更新。国際混成チーム(今回の有名出場選手で構成されたチーム)に次いで2位だったのですが、最後までそれほど大きく離されることなく、追いかけることができた感じがしました。おそらく、個々の走力も上がってるんでしょうねー。これまでは「女子のリレー出場はまずムリ」と思っていたのですが、この日本新で少しは可能性が出てきたでしょうか。

男子4×100mリレー
お次は、メダルの期待もかかる男子の400mリレー。これは、2走は末續慎吾選手、アンカーは朝原宣治選手に決まっているので、1走と3走はだれが走るんだろう…と、スタート位置に目をやったら、そこにいるのはまぎれもなく朝原選手! 朝原選手が1走??? 正直、目がテンになってしまったのですが、やはり朝原選手はそこから動くことなく、そのままスタート。2走はやはり末續選手で、アンカーがたしか大前祐介選手だったと思います。3走は見るのを忘れてました…(ニュースで吉野達郎選手と判明)。ちなみにBチームの1走は土江寛裕選手でした。
これはおそらく、(五輪決勝をイメージするなら)1走からトップ付近につけ、2走の末續選手でトップをキープ。その勢いを3、4走につなげ、なんとか持ちこたえてゴールする…という作戦なのでしょうが…。あまりに思い切ったオーダーで、本当にびっくりしました。ただ、レースのほうは、「お遊びで走った」感じのアメリカチームをよせつけず、日本Aチームがトップでゴール。タイムも日本記録にあと0秒04と迫る38秒35だったので、この意外性のあるオーダーもアリなのかも。
さて、五輪本番では、どうなるんでしょうか。私としては、なんとかこの種目でメダルをとってほしいので、試せるものはなんでも試してほしいです。

■男子3000m障害
昨年の世界陸上で日本新を出して決勝に進出し、一躍注目を浴びた岩水嘉孝選手が出場。五輪代表に選ばれることが濃厚なだけに、その走りが注目されました。レースは、ケニア勢が集団で先頭を引っばり(この種目でよく見られる光景です)、唯一岩水選手がそれについていく…という展開。途中まではずっとその状態が続いていたのですが、レース後半になると徐々に前の3人と差がついてきます。仮についていけたとしても、ラストスパートでは彼らにまず勝てないので、途中で置いていかれるのはなるべく避けたいところですが…(といっても、途中まででもトップにつけたのはすごいんですけど)。
最後はうしろから追い上げてきたオーストラリアの選手に、いったん抜かれたのですが、岩水選手は根性?でついていってゴール手前で抜き返しました。ずっと一緒に走っていたケニア選手の1人にも、スパートで差をつけたし、タイムもシーズンはじめで8分29秒40と、8分30秒を切ってきたし、まずはいい感じで来てるんじゃないでしょうか。

■男子ハンマー投げ
観客のお目当てのひとつ、室伏広治選手が登場するハンマー投げです。観客席の中でも、サークルのうしろはけっこう人が入っていて、室伏選手の人気の高さがうかがえました。
そして室伏選手は、1投目から80mを越える非常に好調な出だしを見せてくれます。いつも、最初の投擲には様子見といった感じがあって、それほど記録が伸びない場合が多いのですが、この日はその1投目から80m21を記録し、残りの投擲に記録の期待がかかりました。
ただ、日本記録は84m86という、とてつもない大記録。2投目からはさらに距離は伸ばしたものの、さすがに日本記録ラインには届きません。結局、この日は3投目の82m18が最高でした。もちろん、これだってかなりな好記録で、今季世界最高なんですけどね。やはり室伏選手には、どうしても大記録を期待してしまうのですわ。ただ、今後も84m86を上回るのは、さすがにものすごく難しいでしょうけど。
あと、なんとなーくスッキリしないのは、一度も室伏選手の「雄叫び」が聞かれなかったからなんです。いつもなら、いい感触で投げられたときは必ずといっていほど聞けるのに、今回はすべて80m台を記録したにもかかわらず、全然出なかったんですね。もしかしたら、これだけ高いレベルの投擲を連発しても、室伏選手はそれに満足してないんじゃないか…と思ったりしました。82mでも満足できないんだとしたら…次に雄叫びが聞けるのは、もしかしたら日本記録を越えられるくらいの、もの凄い投擲が出たときかもしれませんねー。
ところで2位に入ったのは、昨年の世界陸上銀のアドリアン・アヌシュ選手だったのですが、室伏選手以外では唯一80mを越える80m93を投げてきました。ただし、これ以外は全部70m台(たぶん)で、室伏選手の安定感と比べたら全然比較にもならないんですよね。今、世界で一番強いのは、まちがいなく室伏選手だとは思います。なのに、どうしても世界陸上で金がとれないんです。
外国の選手は、「高レベルの安定」はないかわりに、「ここ一発」に懸けてくるんです。その力が、一番大事な試合で爆発する。昨年の室伏選手には直前の不運なケガもありましたけど、それてもやはり「最強なのに大事なところで勝てない」というもどかしさは残りました。
今回の五輪でも、昨年のようなアクシデントさえなければ、優勝候補の筆頭になるのはまちがいないでしょう。4年に一度の最も大きな試合だけに、ここで横から金をさらわれないように願いたいです。

■男子400m
昨年の世界陸上4×400mリレーで好走した、山口有希選手に注目。長いことベテラン頼りだったロングスプリント種目に、久々に現れた期待の新人選手です。海外の有力選手と並んで走ったら、果たして力をちゃんと発揮できるだろうか…と少しは心配もしていたのですが、そんな必要は全然なかったようです。終始先頭を追いかける位置で走って、45秒31でゴール。今の時期に45秒台前半で走れるというのは、かなり地力がついている証拠ではないでしょうか。コンスタントにこの記録で走れたら、五輪や世界陸上でも準決勝までは確実に進出できますからねー。すでに作られてから10年以上がたっている、高野進氏の日本記録を破るのは、もしかしたら高野氏の教え子である山口選手なのかも。
それから、どうやら今シーズンが最後になるらしい、ベテラン小坂田淳選手もなかなかの走りを見せてくれました。山口選手からわずかに遅れる45秒45と、今季は調子が良さそうです。小坂田選手はこれまで、国内ではそこそこ良い走りができても、大舞台ではほとんど力を出し切ることなく予選で敗退していました。正直、かなりもどかしい思いをさせられることの多い選手の1人だったのですが、最後の最後で結果を出すことができるでしょうか。

本当はまだ種目があったのですが、日々の雑事に追われて、記憶が薄れてしまいました。やっぱりこういうのは、記憶が新しいうちに書かないとダメですねー。

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