2006年近畿選手権 2006年10月7日〜9日

■10月8日
現地観戦は昨年末のNHK杯以来。トリノ五輪以降、関西方面で開かれるアイスショーはあっても、瞬く間にチケットが売りきれる…という感じだったんですよね。今回は、ブロック大会ということで、気軽にぶらっと行ってみました。
ちなみに、この日の一番のお目当ては織田信成選手。今季のプログラムを披露してくれるなら、ぜひとも見ておきたかったのです。今年は近畿はパスするかなーと思っていたのですが、来週にはアメリカでの試合を控えてるとあって、織田選手も直前に一度は滑っておきたかったんでしょうね(夏に海外では披露してますけど)。

で、織田選手のショートプログラムの感想です。このプログラムは、関西大学のリンクがオープンしたときのショーで、一度見たことがあるのですが(もちろんテレビだけど)、そのとき比べてずいぶん滑り込んだなーと思いました。昨シーズンは、どうしてもステップやつなぎの場面で見劣りがしてしまったけど、今季は振り付けもかなり動作が大きくなってるし、強化してきた感じです。ステップの難易度はイマイチわからないんですが、これなら前みたいに終盤のステップで、ちょっとガクッとくることもなさそうです。
ジャンプは3アクセル、3ルッツ−3トウループ、ステップからの3フリップで、すべて決めてました。空中で軸が斜めになったのもありましたが、織田選手ってなぜか、そういうときでもなにもなかったようにきれいに降りてくるんですよね。あの技術はすごいです。あとは、スピンにもいっそう磨きがかかったような気がします。とにかく、めちゃくちゃ回転が速くなってるし、難しい変形姿勢をとってもスピードが落ちないんですよ。
全体に昨シーズンと比べても、かなり進歩してるのが、素人目にもわかりましたねー。今日のフリーの演技も楽しみです。

織田選手以外では、女子の太田由希奈選手、澤田亜紀選手がお目当てでした。
太田選手は、今季ようやくケガから復帰、どこまで回復しているか…に注目しました。結果は3位で、春のショーよりは良くなっているけど、まだまだ本調子には遠い、という感想を抱きました。半年前は滑ってるだけでも危なっかしかったんですけど、さすがにそういう感じはなくなってました。手の優雅で細かい動きはさすがだったし、スピンのポジションの美しさはずば抜けてました。だけど、とにかくジャンプが決まらないんですよね。コンビネーションジャンプの3トウループ−2トウループはきれいに降りたんですが、2アクセルは転倒、ステップからの3ルッツは回転不足の両足着氷と、三つのジャンプのうち2本を落としてしまったのは痛かったです。
ただ、これらのジャンプは全然跳べないわけではなくて、直前の6分間練習ではちゃんと決まってたんですよね。アクセルに不安があるようで、これを一番多く練習していたのですが、最初が1回転半になった以外は普通に成功してました。ただ、本番になると、アクセルに入る前は止まるんじゃないか…と思うくらい減速が激しくなって、失敗は目に見えてましたね。あんなにスピードがなくなったら、いくらなんでも跳べるわけないです。もちろん、練習と本番を同じには扱えないけど、少なくとももう少し(練習程度に)スピードを維持したまま踏み切ったら、跳べるはずだと思います。失敗を恐れるあまり、かたくなってるんでしょうか? これから試合を重ねて、感覚を取り戻して、リラックスできるようになれば大丈夫だと思うのですが。
澤田亜紀選手は昨年の日本ジュニアチャンプオンで、今季からシニアに上がる選手。グランプリシリーズにも参戦するし、どういう演技でくるのか楽しみでした。ただ、まだシーズン序盤とあって滑り込みが足りないのか、持ち味のダイナミックさはそんなに感じられませんでした。コンビネーションジャンプも、澤田選手なら3−3をやってるかと思ったんですが、無難に3−2でまとめてました。あと、スピンのレベルアップのために取り入れたと思われるビールマンは、回転がかなりゆっくりで、こちらももう少し練習が必要なようでした。
でも、全体のレベルや安定感は、さすがにほかの選手よりかなり上で、余裕でトップをとってましたね。もうちょい滑り込めば、ぐんと良くなると思います。

■10月9日
この日は近畿選手権の最終日。本当はジュニア女子から見られればよかったんですけど、午後イチに現地へ着く元気がなかったので断念。前日と同じく、シニア女子、ジュニア男子、シニア男子だけ観戦してきました。
この日はフリーとあって、さすがにショートよりは観客も多く、関係者以外の人が増えた感じでした。スタンドの寒さも、ちょいマシだったような気がします。やっぱり、人間の発する熱ってすごいんですねー。…などと、どーでもいいことはおいといて、演技の感想です。

織田信成選手は、前日のショートはかなりいいと思ったんですけど、フリーはまだちょっとこなれてない感じがしました。もちろん、技術は文句なしに一番で、6分間練習のときでも、滑りのスピード、ジャンプ、スピンなど、すべてにおいて「レベルが違う」という感じはしました。たしか、3アクセル−3トウループ−3ループも、クリーンではなかったけど降りてたと思います。
本番の演技でも、3アクセル−3トウループ−2ループをきれいに決め(さすがに最後は2回転でした)、続く3ループもバッチリ。スピンはやっぱりすばらしくて、「今日も調子良さそうだなー」と思ったのですが…。次の3ルッツはステップアウトしてコンビネーションジャンプにできず、終盤で再度ルッツにトライしたものの、これも失敗。あとのジャンプはきれいに決めてたし、後半に入って3フリップを決めたときはガッツポーズも出たんですけどねー。二度のルッツの失敗が勢いを止めてしまったような気がしました。
それに、やはりフリーはまだ滑り込めてないんだと思います。だから、自分のものになってなくて、ジャンプやスピンで見せられる前半はいいんだけど、途中からは盛り上がりに欠ける演技になってしまうんですよね。それにジャンプの失敗も重なって、「フリーの4分半をもたせることができなかった」って感じがしました。
ただ、なんといってもシーズンはまだ始まったばかりですからねー。とにかく、全体にうまくなってるのは確かだし、これからの演技に期待したいです。あと、本当はここで4回転にトライしてくれれば、とってもうれしかったんですけど…。残念ながらそれは見られず。これも、シーズンが終わるまでに、見せてもらえたらいいんですけど。
それと、ショートの感想で書くのを忘れてたんですが、シーズンオフの間に背がかなり伸びましたね。昨年末のNHK杯では、織田選手だけ「子どもが混じってる」って感じだったんですけど、ずいぶんしっかりした体つきになってきたなーと。とりあえずは次の日米対抗戦と、その次のスケートアメリカが楽しみです。
ところで、シニア男子には5人が出場してたんですけど、一番観客に受けてたのは、実は織田選手ではなくて神崎範之選手でした。序盤の3アクセル−2トウループ−2トウループのコンビネーション、それから単発の3アクセルも決め、途中まではほぼパーフェクト。「オペラ座の怪人」のメロディーに振り付けがよく合ってて、観客も引き込まれてましたね。終盤に少しだけジャンプのミスがあったけど、それでも客席は拍手喝采でした。

続いて、シニア女子の感想です。優勝は予想どおり澤田亜紀選手でしたが、こちらも滑り込みが足りないのか、ショートに比べてイマイチかなーと思ってしまいました。ジャンプのミスが目立ったし、ステップシークエンスでも盛り上がりに欠けました。あと、ビールマンスピンは、フリーには入れてませんでした。ショートでは、レベルを上げるために入れてきたけど、完成度がもうひとつだからこの日は抜いたのかな?
今季から、シニアのグランプリシリーズに参戦するわけですけど、この日の演技を見ただけでは、国際大会でどの程度の順位をとれるのか、ちょっとわからないです。調整がうまくできればいいんですけど。
太田由希奈選手は、ショートは3位だったんですが、フリーではミスを連発して6位。総合でも6位に順位を下げました。レベル4のスパイラルは、脚もコーエン選手なみに高く上がってて本当にきれいだし、スピンのポジションもすばらしいんですけど…。いかんせん、まともに降りたジャンプが3トウループ−2トウループ、2ルッツ−2トウループだけでは、とても上位には行けないでしょう。
前日同様、練習ではそこそこ成功してたんだから、本番でも少しは跳べてもよさそうなのですが…。試合から遠ざかってて、勘が鈍ってるのもあるのかなー。慎重に跳ぼうとするあまり、減速して失敗…みたいな感じに見えました。もうちょっと自信持って跳んでくれたらと思うんですけど。

最後に、ジュニア男子の感想を少し。考えてみれば私、2003−04年のシーズンを最後に、まともにジュニアの試合を見てなかったんですよね。去年は西日本選手権を観戦したのですが、そのときも都合でジュニア男子の日は行けなかったのです。なので、世界ジュニアに出るような選手は知ってても、その下になると全然わかってなかったりするのでした。知らないから、当然お目当ての選手もおらず、今回は試合が、シニア女子→ジュニア男子→シニア男子の順番だったから、その流れで観戦したわけなのですが…。
なんというか、私が知らないだけで、有望な選手ってどこの地区にもいるものなんですねー。前日の練習のとき、1人だけスピンもステップもほかの選手と段違いで、えらく目立ってた選手がいたんですよね。そうなると、自然とその選手に注目することになるわけです。見てたら、スピンのポジションがきれいで回転も速く、難しい変形姿勢もとれるし、ステップはかなりしっかり踏んでるし、「こんなうまい選手がいたんだー」と感心してしまいました。
それは吉田行宏くんという選手だったんですけど、あとで調べてみたら、スケート連盟のジュニア特別強化選手で、すでにジュニアでは有名な存在だったことが判明。そう、単に私が知らなかっただけ…なのでした。
そんなわけで、「ショートは、どんな演技を見せてくれるんだろう…」と、かなり期待してました。練習では全然ジャンプが見られなかったので、それも楽しみだったんですよね。ところが、吉田選手はなぜか、ジャンプをすべて抜いて滑ったのです。一応、入りの動作で、3ルッツ、3フリップ、2アクセル…という構成であることはわかったんですが…。なぜに全然跳ばなかったのか、ケガでもしてるのかなーと漠然と思ってました。
でも、この日のフリーを見ても、どうもケガしてるという雰囲気じゃない。フリーは、ところどころ1回転のジャンプは跳んでたんですが、もしケガでそれしか跳べないんだったら、スピンやステップをあんなにきっちりできるわけがないんですよね。しかも、演技後にリンクサイドに上がるときは小走りだったし、これはケガというよりは、意図してジャンプを抜いてるのかなーと。帰宅してから、過去の試合の結果なんかを見てみると、ジャンプの成功率があまりよくないらしい…ということがわかったので、もしかしたらジャンプの矯正中なんであえて封印してたのかなー。まあ、本当のところは全然わからないんですけど。
なんか、長々と書いてしまいましたけど、まあ、久々に私にとって期待の選手が現れた…ということで、これからは少し注目していきたいです。まずは、まともにジャンプを入れた演技を見てみたいですねー。ただし、次に試合を見に行けるのはいつのことやら…って感じではあるんですけど。

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