2007年の雑記 1 2
9月14日
体操が終わったかと思うと、今度は世界柔道選手権が始まりました。世界陸上観戦のため、長居に通いつめたのがたたって、出張続きの現在を過ごしている私…。ビデオを見返す暇がない〜!と嘆いております。記憶がなくなる前に、きっちり書いてしまわねば。
というわけで、とりあえずは柔道初日の感想を少し。
なんつーか、こんな後味が悪いのって、シドニー五輪の篠原選手のとき以来です。鈴木選手の試合を見るのは、今大会のかなりな楽しみだったのに、技を堪能する前に終わってしまった…。というか、無理矢理終わりにされてしまった…とでもいうんでしょうか。
鈴木選手の2試合目、主導権は完全に握ってたと思うし、技をかけて、完全に相手を倒して…。素人が見ても、どっちが勝ったかくらいわかりますよね。わからなかったのは、3人の審判だけだったのかと思うと、本当にやりきれないです。
選手が倒されて、背中がべったり畳に着いたら、その時点で試合は終わりのはず。負けたはずの選手が、相手の背中を畳に押さえつけたら「返し技」になるなんて、聞いたこともありません。それが通用するとしたら、はっきりいってもう柔道じゃないですよね。
それにしても、来年の北京では日本へのものすごい逆風が予想されるだけに、ここでは力を見せつけてほしかったです。いや、見せつけてくれたにもかかわらず、認められなかったんですけど…。なんだか、来年は悪夢のソウル五輪が再現されそうな、いや〜な予感がしています。
女子の塚田選手と中沢選手は、惜しくも銀メダル。特に中沢選手は、ほとんど勝ちを手中にしていたにもかかわらず、落としてしまった…って感じで、本当に残念でした。あのまま攻め続けていたら絶対に勝てたのに、勝利を目前にしたら同じ気持ちでは戦えなかったんだろうなぁ…。ただ、前回大会に比べたら、確実に金への距離は縮まっているみたいなので、なんとか来年、この借りを返してほしいですね。
塚田選手は、相手の思うままに指導をとられてしまって、反撃することもままなりませんでしたね。捨て身の技すらかけさせてもらえない感じで、実力差というよりは試合運びのうまさで勝敗が決まった気がします。塚田選手が攻めるきっかけを見いだす前に、相手がさっと「効果的に見える技をかけてきて、塚田選手としては「それをしのぐのに精一杯」に見えてしまいましたから。北京までに、打開策は見つけられるんでしょうか?
それから、最後に井上選手について。今回は2回とも、自分のかけた技を相手に返されて、それで負けが決まってしまいました。解説の篠原さんも仰ってましたが、「詰めの甘さ」が気になりました。アテネ五輪以降、あの強かった井上選手をほとんど見ることができていません。復活なるかと思った矢先の大けがで、試合勘も鈍っているのでしょうか。井上選手が昔の強さを取り戻すか、彼を倒して代表をもぎとるような若い選手が出てくるか、どちらかを期待したいです。
それにしても、男子は重量級でメダルがとれないとなると…。このあとはさらに苦しい戦いになりそうですからねー。
9月7日
世界体操選手権、個人総合で水鳥選手が銅メダルを獲得したのはうれしいのですが…。冨田選手の不調に、テンションはかなり下がりぎみです…。
昨日の団体決勝も、銀はとれたけれど、中国との差を見せつけられた感じでしたよね。出だしの種目のゆかは、日本があまり得意でないので、下位スタートは想定していたんですが…。そのあと、順位こそ徐々に上がってきたものの、中国との点差は開く一方。得意種目で点を稼ぎ、差を縮めたいところで細かいミスを連発したのは、本当に痛かったです。日本が得意とする最後の鉄棒までに、中国に大差をつけられてしまって、プレッシャーをかけることすらできませんでした。
各種目の得点を中国と比べてみると、とにかくあん馬とつり輪で、かなりの開きがあるんですよね。こうなってくると、あん馬のスペシャリスト・鹿島選手の故障欠場は大きかったなぁと、改めて思いしらされた感じです。
来年の五輪は北京。自国の利を受けて演技する中国選手団と、ブーイングを浴びる日本選手団が、容易に想像できるわけですが…。なんとか打開策を見つけてほしいです。とにかく、まずは「ミスのない体操」ができるようにしてもらわなくては…。
続いて個人総合です。前日の銀がかなり悔しかったので、冨田、水鳥両選手のいい演技が見たかったんですけどねー。たとえ金はとれなくても、きっちり実力を発揮してほしかったのです。
…なんだか残念すぎて、どう書いていいか…って感じです。一度、録画を見返してみて、改めて書くことにします。(さすがに眠い…)
9月4日
世界陸上が終わったと思ったら、入れ替わるように体操の世界選手権が始まってたんですねー。この9日間というもの、全精力?を陸上に注ぎ込んでいたので、体操のことをすっかり忘れておりました。でも、ここの結果で北京五輪に出場できるかどうかが決まるわけで、当然見逃してはいけない大会なんですよね。まあ、気づいたときには、男女ともしっかり団体出場権を獲得してたわけですけど…。
男子は、いってみれば「出てもらわなきゃ困る」って感じですが、女子が12位で北京行きを決めたのは驚きました。考えてみたら、日本女子が最後に団体で出たのは、1996年のアトランタ五輪。いつの間にか12年も経ってたわけですよねー。あと1年で飛躍的な実力向上は望めないだろうけど、できれば北京ではひとつでも順位を上げてほしいものです。
あ、個人では冨田洋之選手が予選2位、水鳥寿思選手が3位につけてるので(決勝に点が持ち越されるわけではないけど)、こちらのほうも楽しみです〜。
9月2日夜
世界陸上大阪大会が、幕を閉じました。最終日を現地観戦するかどうか、最後まで迷っていたのですが、今朝起きてみたらあまりに身体がだるかったので、自分の年齢を省みて長居行きは断念しました。もし、昨日リレーでメダルがとれていたら、身体をひきずってでも表彰式を見に出かけたかもしれませんが…。
では、とりあえず女子マラソンについて少しだけ。
土佐選手の粘りは、やはり一級品でしたね。レース中盤、徐々にトップ集団が絞られてきたころでも、日本選手で一番余裕がありそうに見えました。動きや表情に全然変化が見られなくて、落ちていく選手と比べて、そのの違いは歴然としていたと思います。
ただ、終盤、ライバルにスパートをかけられたとき、ついていけるだけのタミナは残っていませんでした。離された時点で、金の可能性はほぼ消えました。そして、一時はメダルも危ういかに思えたのですが…。
そこからの走りは、まさに土佐選手の真骨頂でした。粘りに粘って、落ちてくる選手を抜いていき、確実にメダル圏内へと近づいていきます。ついに3位にまで上がったときは、2位の選手も射程圏内に入ったか…と思えたほどです。
さすがに、それ以上の追い上げは無理でしたが、うしろから脅かされることもありませんでした。前との差を保ったまま、土佐選手は3位でゴール。一度は逃したかに見えた、この大会のメダルと、北京五輪の代表切符を、彼女は自分の持ち味を最大限に発揮してもぎとったのでした。
土佐選手は、ほかの日本選手と比べて、「経験」という点で一枚上でしたね。世界レベルのレースを、上位で戦うことに慣れていると思いました。6位に入った嶋原選手も、終盤までいい位置にいたのですが、途中で前に出るか、うしろにつくか、迷いがあったように見えました。
最後に、中国は強くなりましたねー。これまでは、アフリカ(エチオピア、ケニア)と日本、それからヨーロッパの数か国でトップ争いをしていたけれど、そこに中国が割って入ってきました。北京に向けて、強化は着実に進んでいるようです。
ほかの競技と閉会式、それから昨日までの感想も書いてしまわないといけないのですが、体力の限界を感じたのでここらでやめておきます。あとは、おいおい更新します。
9月1日夜
長居陸上競技場のスタンドは、ほぼ満員にふくれあがっていました。当日券売場に長い列ができていたのを、今大会で初めて目にしました。これだけの観客を呼び寄せたのは、やはり日本の男子4×100mリレーのメンバーたちでしょう。
予選を3番目の記録で通過。決勝で、4人全員が自分の力を出し切れたら、結果はついてくると信じていました。そして、彼らはそれぞれ、素晴らしい走りを見せてくれたのですが…。昨日の日本新をさらに更新する、38秒03という好タイムをマークして、まさかメダルに届かないとは思いませんでした。
でも、競技場内は最高に盛り上がりました。ピストルが鳴ったとたん、スタンドはほとんど総立ちになって、みんな声をからしながら「がんばれ〜!」と叫んでました。帰宅しても、なお余韻がさめやりません。
詳しくは、また後日に更新しますが、どうしても一言、この盛り上がりを伝えたかったので。ただ、さすがに細かい感想を書く気力は残ってません…。
9月1日昼
50km競歩は、なんともいえず後味の悪い、運営側のミスが出てしまいました。山崎選手の無念さを思うと、本当にやりきれない気分です。あんなミスは、しちゃイカンでしょう…。途中までレースを見て、用事で出かけたのですが、帰ってきて結果を知ったときは唖然としてしまいました。
さてさて、とりあえず、予定では今日が最後の現地観戦です。日本のメダル獲得を見ることはできるでしょうか?
8月31日夜
雨が降ったおかげか、かなり涼しいなかで観戦することができました。これならケイレンetc.の心配も、そんなにしなくてはいいのでは…と少しは期待。つーか、今日こそはなんとかしてくれ〜という感じで席につきました。
この日一番盛り上がったのは、やっぱり男子4×100mリレーの予選でした。普通に走れば通過は問題ないレベルではあるけれど、そこは「なにがあるかわからない」リレー種目。バトンパスで苦い思いをしたことは何度もあるし、とにかくアクシデントの多い種目ですから。しかも、日本が入った2組は、ジャマイカ、アメリカという金メダル候補も走るわけだし、下手したら怖いなーという感じもありました。
でも、そんな心配は必要なかったですね。1走の塚原選手は抜群の飛び出しを見せて、トップ付近で2走の末續選手へ。正直、末續選手がレーンに姿を現すまでは、「本当に出てくるのか、出てきたとしても身体は大丈夫なのか…」と不安に思っていましたが、ここはしっかり走りきってくれました。日本は上位をキープしたまま3走の高平選手へリレー。高平選手は、さすがにコーナーを回りきったあたりで2強には遅れをとりましたが、アンカーの朝原選手は、やはりリレーにはものすごく強かった! あっという間に4位以下の国を突き放し、トップにもひけをとらない走りを見せて3着でゴール。38秒21、堂々の日本新&アジア新で決勝進出を決めました。
2組3着、でも全体でも3番目のタイムです。メダルへ向けて、これ以上ないチャンスが巡ってきたのではないでしょうか。それに、レース後のインタビューでも聞かれましたけど、予選はかなり慎重にバトンパスを行ってました。遠目では、かなり詰まった状態のパスに見えたので、思い切って行ければ、まだまだ記録の短縮は期待できそうです。
この種目のメダル獲得は、ここ10年ほどずっと日本チームの目標だったし、今までも充分可能性はありました。ただ、かなめとなる2走と4走には他国と遜色ない選手を置けても、つなぎとなる1走と3走は、どうしても一段力が劣ることが多かったのは、否定できない事実でしょう。この区間に、せめて個人種目の一次を通過できる実力を持った、選手を置くことができたら…。そのときはメダルに手が届くだろうと、私はずっと思っていたのです。そして、この大会で、朝原選手と末續選手だけでなく、全員が100または200の一次を通過したのを知って、やっとそういうオーダーを組める時代がやってきた、またとないチャンスが巡ってきたと思ったのです。
この最大のチャンスを絶対に逃してほしくない、なんとしてもモノにしてほしいです。
残りの感想は、ちょっとまとめている暇がないので、またあとで。
ちなみに、本日の帰宅時間は23時45分でした。疲れたけど、行ったかいがありましたねー。
8月31日昼
なんか、ここまでくると「呪われてるんじゃないか」と思ってしまいそうな、今回の世界陸上です。せめて、リレーでなんとかしてくれることを願いつつ、長居へ行ってきます。
8月30日夜
残念です。まさか棒高跳びの澤野選手が、予選落ちしてしまうとは…。いや、予選落ちは仕方ないにしても、まともに跳べないまま、あんな形で去ってしまうとは…。
練習では5m60を簡単にクリアしていたというのに、本番は力が入ってしまったんでしょうか。5m55の1回目は手が滑って踏み切れず、2回目は助走の途中で跳躍を中止。やり直そうとはしたようですが、時間ギリギリではもう無理でした。手が滑ったときに摩擦でヤケドをして、次は助走で足がつったそうですが、なんか「負のスパイラル」に陥ってしまった感じがしました。時間をかせぐために3回目をパスして次の5m65に挑みましたが、またしても助走の途中で止まってしまって、テレビで見ていても「もう無理」だとわかるくらいでしたね。全身がつった状態で、それでもやり直して踏み切るまでを行ったのは、自国だからこそでしょう。ほかの国だったら跳んでないと思います。今回は、ぜひとも決勝の舞台で見たかっただけに、本当に残念でした。
それにしても、練習ではなんの問題もなかったのに、大事なところでこうなってしまったのは、いったいどういうわけなんでしょう。もともと足がつりやすいのは知っていますが、いろいろ対策も講じてきたようだし、自国開催の気負いもあったんでしょうけど、それにしてもここまでいろんな選手が、同じような症状で敗退するのを見ていると、なにか原因があると思わずにはいられません。自分の国だから暑さは知っている…と、どこかで甘く見てたのかなぁ…。結果的に、対策を充分講じてきた他国に、完全に出遅れてしまったのかも。今からでも、できることは徹底してやってくれれば…と思います。
男子200m決勝は、ゲイ選手(アメリカ)の強さに圧倒されました。速いのは速いんだけど、それよりもやっぱり「強い」んですよ。詳しくはまたあとで更新します。
8月29日
この日は忙しくて、ほとど中継が見られませんでした。とりあえず、ちょこっと見た2種目のみ、感想を書いておきます。
まずは、午前中に行われた男子110mハードル予選。期待の内藤選手が、着順で準決勝へ進出しました。内藤選手は日本記録こそ持ってはいませんが。数年前から常に日本トップの位置にいたんですよね。そろそろこのへんで、次の段階へ進んでほしい選手です。予選とはいえ、最初から前のほうでレースを進めて、最後もしっかり3着に入った感じですね。
続いて、女子5000m予選です。日本の長距離トラック陣で、孤軍奮闘する福士選手が、決勝進出を決めてくれました。10000mよりさらにスピードが要求されるこの種目で、決勝進出はギリギリのところだと思ったんですが、とりあえずは一安心です。
とにかく、初めから先頭付近でレースを進めたのがよかったですね。タイムで拾われることを視野に入れていたと思うので、あまり遅いペースは避けたかったんでしょう。で、ペース作りには参加しながらも完全に先頭には出なかったあたり、かなり冷静に走っているように見えました。
ただ、4000mを越えて、周囲がペースを上げてくるとさすがにきついですね。最後はさすがに離されてしまいましたが、それでもきっちり走りきって7着でゴール。決勝へはタイムで拾われる形になりましたけど、自分でレースを作って出したタイムですから、充分ですよね。決勝でもいい走りを見せてほしいです。
8月28日夜
末續選手の二次予選敗退、午前中には金丸選手の途中棄権。期待の選手が相次いで敗れ去りました。あまりに残念なこの日の結果です。
まずは男子200m二次予選です。午前中の一次予選は、日本勢3人がしっかり通過してくれて、ある意味うれしい誤算だったのですが、二次で全員が落ちるのは完全に予想外でした。末續選手にとって、勝負は準決からのはずだったのに、結局その舞台には立つことすらできませんでした。
前半の末續選手は、そんなに悪い走りではなかったと思うんですが、直線に出たところで予想外に遅れてしまってたんですよね。あとは力が入って、後半の伸びはまったく見られないままレースが終わってしまった感じです。レースが終わったあとは、けいれんを起こして立ち上がることすらできなかったというから、体の中の歯車が狂ってしまっていたのかなー。狂わせたのは、大阪の異常な暑さか、それとも自国開催の重圧か…。すべてがちょっとずつ狂って、それがこういう結果を引き起こしたのかもしれません。
末續選手はリレーには出るとのこと。なんとかそれまでに、しっかり調整してほしいです。
続いて女子棒高跳決勝。予選を現地で見ていて、イシンバエワ選手(ロシア)のふわりとした跳躍にすっかり魅せられてしまったのですが、決勝でもその強さは際だってましたね。
ほとんどの選手が4m35cmから跳び始めるなか、イシンバエワ選手だけはこれをパス。続く4m50も60もパスして、いったいいつから出てくるんだろう…という感じでした。そして、ようやく跳んだ4m65はあっさりクリア。4m80の1回目を失敗したときだけ、唯一ひやりとさせられましたが、それも一瞬のこと。2回目は余裕で越えて、たった3回の跳躍で金を獲得してしまったのでした。
テレビ局がつける選手のニックネームはいらないけど、イシンバエワ選手の「羽が生えたような」という形容詞だけは同感です。本当に浮かび上がる感じなんですよ。現地で見たのは、たった1回の予選の跳躍だけなんですけど、なんというかクセになりそうな魅力がありましたねー。
最後の男子400mハードル決勝は、クレメント選手の型破りな走りが印象に残りました。
序盤は抑えぎみに入ったクレメント選手でしたが、第3コーナーを回るあたりから徐々にスピードを上げ、最終の第4コーナーを抜けたときは完全にトップに立ってました。それだけでもびっくりするような加速力なんですが、さらに驚くべきは、最後の2台のハードルを越えるときに見せた、信じられないハードリングでしょう。まさか、金メダルをとるような人が、あんなヘンテコな跳び方をするなんて…。手前でちょこちょこと足を合わせてひょこっと跳び越えて、なんでそれで47秒61が出せるん?って感じですよ。日本の選手は(日本だけじゃないけど)、ほんの少しでもタイムを縮めるために、ハードリングにもいろいろ工夫を取り入れてるのに、あれでこのタイムを出されたら…。
まあ、世界にはいろんな選手がいるっていうことですかね。
8月28日昼
男子400mで予選突破の期待がかかった金丸選手ですが、走れたのはわずか4分の1周だけでした。スタート前はいつもの感じだったし、走り始めも快調に飛ばしているように見えたのですが…。突然左足太ももの裏側を押さえて止まってしまい、レースを中断。その時点で金丸選手の世界陸上は終わってしまったのでした。
この猛暑も、地元出身だけに慣れたものだと思っていのですが…。首を痛めていたというから、そのへんも関係していたんでしょうか。担架で運ばれていくとき、本当に無念そうだったんで、次はこんな思いをしなくていいようにしっかり調整してほしい…というしかないですね。
8月27日夜
ハンマー投げで、長居陸上競技場がまた熱くなりました。とりあえず、私の前半戦はここで終了。これから数日は、テレビ観戦でがまんします。でも、さすがに3日連続は疲れたかも。なんせ、何時間も低温サウナに入りつつ、グラウンドをにらんでるようなもんですから。
さてさて、この日の注目競技は、なんといっても男子ハンマー投げ。投げるところを近くで見ようと、第2コーナー付近の席にしたのですが、誰しも考えることは同じのようで。私の周囲はてっぺんまでほぼ満員なのに、逆に反対側の第3・第4コーナーはガラガラな状態でした。
ただ、正直なところ、予選を見た段階で室伏選手のメダルは「期待できない」と思ってました。2投目でやっとこさ予選通過ラインを越えてくるようでは、本調子にはほど遠いですからねー。
決勝の1投目は76m94で、やっぱり調子上がりきってないのかと、かなり心配させられました。これでは、8人に残るのさえ難しい…と思ったのですが、そこは室伏選手。悪いなりにちょっとずつ記録を上げてきて、3投目にはついに80mを突破。あともう少し伸ばせれば…という感じだったのですが、やはりそのへんが限界だったんでしょうか。その後も80m付近に落下する投擲が続き、最後でようやく3投目を上回る80m46を投げたものの、結果は6位。一度もメダル争いに絡めないまま、競技が終了してしまいました。
やはり、メダルをとろうと思ったら、81mは絶対に必要なんですよね。80mと81m、たった1mの違いなんですけど、実際に投げるところを見ていて、この日の室伏選手ではどうしても届かない距離なんだなーというのを実感させられました。競技を終えた室伏選手のさばさばした表情からして、本人も納得の結果だったんでしょう。そんな調子でも、しっかりまとめてきてくれたことに感謝しました。これで北京五輪の代表にも内定したことだし、来年は本調子の室伏選手が見たいですね。
あ、優勝したティホン選手の投擲はすごかったです。最後の1投を残すのみで、順位はほぼ決まったかなーとみんなが思い始めていたところに、83mを越える距離を投げてくるんですから…。ぐんぐん伸びていくハンマーに、観客席も度肝を抜かれた感じです。「どこまで飛ぶんだ…!」って感じ。ティホン選手にはこの1発がある、ってことをすっかり忘れておりました。いやー、すごかったです。
女子400mの準決勝には、丹野選手が出場。数年前には、この種目の予選を突破する日本選手が出てくること自体、信じられなかったはことなんで、それだけですごいことだと感じます。ただ、さすがに準決では勝負になりませんでしたねー。スタートから置いていかれて、世界トップとの差を思いしらされてしまいました。
これまでは「世界の舞台に出る」ことが目標だったけど、次はそれが「世界で勝負する」になるんでしょうか。難しいかもしれませんが、いつかは実現させてほしいです。
それから、男子1500mの準決勝ですが、こちらも以前は予選突破なんて考えられなかった種目。中距離って、あまり強いとはいえない日本の陸上の中でも、一番弱いかもしれない種目でしたからねー。
で、見事に予選を通過して、このレースに臨んだ小林選手ですが、ラスト1周までは集団にくらいついていくなかなかの健闘ぶり。でも、中距離の勝負は、そのラスト1周にかかってるんですよね。鐘が鳴るとあっという間に最後尾になってしまって、そこからもついていくことの難しさを感じました。第3から第4コーナーのカーブで周囲がスパートすると、完全に置いていかれてしまいましたからねー。
それでも、まだこれからの種目なんで、今後はちょっと楽しみにできそうです。
お次は、男子10000m決勝です。日本男子は、世界のトップにおいていかれずにレースができるのだろうか…と危ぶみながら観戦したのですが、やはりそれは杞憂ではなかったようで…。日本勢2人はスタートから最後尾近く。それでも竹澤選手は途中から少し上げて、全体の真ん中よりやや後方へつけたのですが、前田選手は最後尾のまま。いくら、落ちてくる選手を拾ってかわしていく作戦でも、これはちょっと遅れすぎだと思いました。前田選手とトップとの差は開くばかりで、早々に周回遅れとなってしまったのは残念です。実力的にトップと勝負するのは不可能で、それは仕方ないことだけど、正直もう少しなんとかならなかったかなーという感じです。
ただ、竹澤選手のほうは、自分の力で可能な限りの、積極的なレースをしてくれたと思います。1人ずつ、確実に落ちてくる選手を抜いていくあたり、なかなか冷静だったし。出だしでもう少し上位につけていたら、入賞も夢ではなかったかもしれません。まだ若いんで、これからいい方向に伸びていってほしいです。
ところで、このレースは競技場で観戦し、後日録画を見ながらこれを書いているのですが、テレビだと、見事に日本選手はスルーなんですよね。正直「もうちょっと映したれよ〜」って感じです。でも、それも仕方ないのかなー。もう全然レベルが違いますもん。トップ集団の中には、日本の実業団に所属しているマサシ選手(ケニア)も入っていたのですが、レースを見てると、ふだん日本選手ぶっちぎられるのもしょうがないよなーと思えるんですよね。日本人は「勝負しよう」とすらしない感じで。あきらめてるというか。
ただ、そんな日本国内ではものすごく強いマサシ選手も、ラスト勝負になるとエチオピア勢に勝てないわけで。何周か残してスパートしたときは、早めに勝負をかけたのがわかりましたが、エチオピアの2人が離れてくれない。そして、最後の1周にさしかかったとたんにマサシ選手は置いていかれて、金メダルはエチオピア勢の争いに。最後はベケレ選手が、ものすごいスパートであっという間にトップに出たかと思うと、ぐんぐん引き離してそのままゴール。もう貫禄勝ちというか、強さをまざまざと見せつけられた気がしました。
ところで、テレビだとアップで映るし、選手の名前も言ってくれますが、現地で見てると誰がトップにいるのか全然わかんないんですよね。先頭付近にエリトリア、それに続いてエチオピアの3人、後方にケニアの3人…。正直、ユニフォームでしか、見分けられないんですよ。もし、エチオピアもケニアも同じようなユニフォームだったら…全然わからないのは間違いないでしょう(笑)。
続いて、この日最後の種目、女子100m決勝。終盤までウィリアムズ選手(アメリカ)がリードしてて、そのまま行くかなーと思ったのですが、最後は数名が横一線でゴールになだれ込んできて、順位は写真判定に…。しかし、結果が出るまでがおっそろしく長かったですね。場内のスクリーンに映し出される選手の顔も、不安そうなのばかりだし、最初は選手もレーン上で電光掲示板を見つめていたのですが、あまりに長くかかりすぎるもんで、途中から端のほうへひっこんでしまいました。ようやくキャンベル選手(ジャマイカ)の名前が表示されたときも、まだ「本当に?」って空気が抜けなかったですね。彼女が国旗を持ってウィニングランを始めたんで、実感がわいてきた感じでした。
8月26日夜
本日は、12時すぎに長居より帰宅。異様に蒸し暑かったのと、力が入りすぎたのとで、なんだかどっと疲れてしまいました。んでも、本当にめちゃくちゃ盛り上がってました!
昨日の大混雑にこりてスピードアップを図ったのか、単に私が少し遅れたからか、今日はあっさり場内に入れました。まあ、私が遅れたからでしょうけど、開会式みたいに観客が一斉にはやってこないから、こんなものかも。私が入ったときは場内はかなり埋まってて、すでに大盛り上がりな状態でした。
まずは、男子100m準決勝。間違いなく、今日一番盛り上がったレースでした。スタンドからはひっきりなしに「朝原ガンバレ!」という声が飛んでて、それがもう悲鳴みたいなんですよ。とにかくすごい熱気が充満してて、みんなこれを見にきたんだなーってひしひしと感じました。
異様な緊張感のなか、1回目のスタートはフライング。こういうときって一発で出てほしいんですよね。朝原選手の心中は、どんなものだったんでしょうか。見ているこちらは「リラックスして、1次のような走りを…」と願うしかなかったけど、やっぱりそれは難しかったんでしょう。
二度目のスタートはそれほど良くなくて、朝原選手は周囲の選手にわずかに先行されてしまいます。それで、少し焦りが出たのかもしれません。この大舞台での、わずかな狂いは命とりでした。最後までリラックスした動きを取り戻すことはできず、朝原選手は8人の中で一番最後にゴール。流して走った1次予選より、はるかに遅い10秒36のタイムでした。
チャンスは充分あっただけに、残念…というか無念でしたね。1次のタイムが出せたら、それで良かったんですから。もちろん、周りは強かったけど、結局一番高い壁は朝原選手心の中にあったのかなーと思ってしまいました。
まだリレーは残っているけれど、やっぱりこの100mで決勝へ行ってほしかったです。それでも、朝原選手の「こんな声援の中で走れて幸せ」というようなコメントで、ちょっと救われた気分になりました。みんなの声援や拍手は、無駄じゃなかったんだなーと。
とにかく、すべてにおいて熱い(暑い)レースでした。
さてさて、この日の席は、女子棒高跳が行われていた第3〜第4コーナー付近。チケットをとったとき、さんざん考えて「一度、棒高跳びを近くで見てみよう」と決めたのですが、おかげでなかなか迫力ある跳躍が見られました。
やっぱり、近藤選手への応援はすごかったですけど、それに応えてすごくいい跳躍をしてくれたと思います。4m05に続いて4m20も1回でクリア。自己ベストに並ぶ4m35は、3回目でものすごくきれいにクリア。かなり余裕をもって越えてました。近藤選手もかなりな喜びようで、観客席へめっちゃうれしそうに手を振ってくれてましたねー。この大舞台で自分の力を発揮することは、それだけ難しいんだなーと実感しました。
でも、次の高さは4m45。いきなり自己ベストにプラス10cmは無謀…とは思いました。実際、1回目と2回目の跳躍は、全然越えられそうにないものだったのですが…。3回目の跳躍は、意外なほど良かったですねー。身体が浮いて、一瞬「越えた?」と思ったのですが、胴体が触れて惜しくもバーは落下。でも、本当に惜しくて、近々日本記録を大幅に更新してくれるかも…という期待を抱かせてくれました。
ところで、この日は「イシンバエワ選手(ロシア)の跳躍を見る」のも、大きな目的でした。ですが、予想どおりパスの連続で、なかなかその機会はやってこず…。予選通過ラインの4m55までバーが上がって、やっとこさ登場したかと思うと、あっという間にクリアして、さっさと競技を終えてしまったのでした。
なんつーか、一人別世界の跳躍でしたね。まさに「ふわり」と浮いた感じで、スローモーションを見ているような錯覚を覚えました。昔、セルゲイ・ブブカ氏が「鳥人」と呼ばれていたけど、名づけた人の気持ちがわかるような気がしましたねー。
男子400m障害準決勝は、為末選手のまさかの予選落ちで、期待は成迫選手に。でもって、スタートしてからは常にトップのほうにいたもんで、「これは行ける」と思ったんですけど。最後に少し失速したのかなー。ほかの選手にわずかに先着されて、結果は100分の1秒差の5着。決勝進出は各組2着+2なので、タイム順で拾われるには、最低でもこの組の4着に入ってなきゃいけないんですよね。つまり、この時点で決勝進出の望みは絶たれてしまったのでした。
でも、この組だけやたら記録が良かったのは、少し悔しいですね。48秒44は、ほかの組だったら2着までに入れていたタイムでしたから。それにしても、今回の男子400mハードルは、100分の1秒に泣かされっぱなしですね。
そしてこの日のクライマックス。男子100mの決勝です。さすがにスタンドの観客も、このレースを待って、ほとんどそのまま残ってました。選手が1人ひとりコールされるのを聞いていると、「これだけのメンバーが本気で走るところを見られるのは、二度とないかもしれない」と、この場にいられる幸せを感じましたねー。これぞ、世界選手権観戦の醍醐味、とでもいうんでしょうか。
レースは、世界記録保持者のアサファ・パウエル選手(ジャマイカ)が最初から出て、ゴール手前までリードしていたと思ったのですが…。フィニッシュラインの手前でゲイ選手(アメリカ)がかわして、そのままゴール。なんか、過去の世界陸上のビデオでも見ているようなレース展開でした。たった100mに凝縮された駆け引きが見られて、すっごい興奮状態が続いてました。いやー、世界選手権って本当にいいですねー。
帰りぎわ、長居駅の手前でもらった読売新聞の号外。まさに「今、プリンターから出力しました」って感じです。 |
 |
|