2002年全日本選手権(12/21・前半戦−ショートプログラム)

お昼の1時に始まって、すべてが終了したのが夜9時半…。かなりな長丁場で、さすがに疲れました〜。

line.jpg

■男子シングル
【SP順位】
1 本田武史  2 高橋大輔  3 田村岳斗  4 中庭健介  5 柴田 嶺
6 岩本英嗣  7 小林宏一  8 織田信成  9 中井 駿  10 津留 豊
【全体の感想】
順当すぎるぐらい順当に終わってしまった男子。本田選手はミスをしても、ひとつぐらいではもうビクともしない…というか、それがわかりきってるだけに、ちょっとほかの男子がふがいない感じがしました。
【個々の選手について】
・本田武史
本田武史今シーズン、腰の具合が悪いのか、これまでもうひとつ調子に乗り切れていない本田選手。正直、「まさか、出ないなんてことはないよなー」と心配してたのですが、無事姿が見えてほっとしました。「本田武史のいない男子シングルなんて…」って感じですから。
本田武史さて、出だしのコンビネーションは、見事に4回転−3回転を成功! セカンドジャンプでちゃんと3回転できたのは、もしかして、大きな大会では今シーズン初めてじゃないでしょうか? これはいい調子?と思ったんですが、そのとたんに3回転半をミス。完全に転んでしまいました。今季、このジャンプの失敗がかなり目につくのが、ちょっと気がかりです。4回転半にも挑戦する…なんて言ってたから、その練習のせいで3回転半に微妙に影響が出ているのかもしれません。なんとか、立て直してもらいたいです。
・高橋大輔
高橋大輔昨シーズン世界ジュニアで優勝して、売り出し中の高橋選手。世界選手権二つめの代表のイスをとるのは、高橋or田村?というのも興味のひとつでした。とりあえず、高橋選手リードってところでしょうか。
高橋選手を生で見たのは当然これが初めてなのですが、第一印象は「テレビよりオトコマエに見える(笑)」でした。滑り出すと、これまたけっこうなめらかで、「イイんじゃない?」という感はますます強く…。最初の3回転−3回転のコンビネーションはきっちり決め、不安のあった3回転半もなんとか成功。ステップからの3回転も降りて、本田選手に次ぐ高得点をたたき出しました。
ただ、ショートだけだとまだなんともいえないですよね。明日のフリーを待ちたいです。
・田村岳斗
田村岳斗お次は田村選手です。デビューしたころから「ジャニーズ系の容姿」で(私が言ってるんじゃありません〜。ファンだという子から聞いたので)、試合会場では女の子に絶大な人気がありましたが、ちょっと見ない間に少し様相が変化しているようです。今や彼女らの関心は、高橋選手に移りつつあるのか…。やっぱ、スケートで頑張らんとアカンよ!って思ってしまいました(笑)。
でも、そのかんじんのスケート、私が最後に見に行ったときよりかなり進歩はしてました。踊れるっていう点では、本当にかなりのもんだと思います。が、その割にプレゼンテーションが伸びないのは、なんでかしら…。やっぱりスピード不足なんでしょうか。私の見る目がないせいで、イマイチ理由がわかんないんですよね。
ジャンプは、4回転からのコンビネーションがギリギリ決まって「やるやん!」と思わせてくれたのですが、そのあとのアクセルが2回転に…。彼はアクセルが苦手なのが、かなりネックになってるんですよねー。これを克服しなければ、世界では戦えないよ〜といいたいです(そりゃ、本人もわかってるでしょうけど)。
・中庭健介
中庭健介今シーズン、グランプリ大会への出場を果たした中庭選手。昨シーズンまで、彼のことなどまったく知りませんでした。初めて見た感想としては、「けっこうソツなくこなすタイプかなー」と。コンビネーションの4回転もなんとか降りられたし、今、日本の男子のなかで4回転を降りられるのは、結局本田、田村、中庭の3人だけなんですよねー(高橋選手は、プログラムには入れててもまともに降りたのを見たことがないし、あとの選手はまず無理そう)。そういう意味でも、がんばってほしい選手です。
ただ、現段階ではちょっとインパクトに欠けるかなぁ…。なにか「これ」という持ち味が出てくればいいんですけどねー。明日のフリーでそれを探してみます。
・柴田 嶺
柴田 嶺私にとって、「今日の収穫」といっても過言ではないでしょう。どっかの掲示板で名前は見たことあったんですが、正直、それ以上はなにも知りませんでした。ところが、滑りはじめてびっくり。ちゃんと踊れるじゃないですか〜! それも、かなりバレエやダンスのレッスンに力を入れてる感じです。腕の動きが違いますもん。あと、コンビネーションスピンにレイバックが入ってた! 日本人の男子でレイバックスピンをして違和感のない選手は、そうそういるもんじゃありません。
ジャンプもまずまずで、コンビネーションは3回転−3回転を入れてました。ただ、アクセル系のジャンプは苦手かもしれないですね。うまく言えないけど、「アクセルが得意な人の跳びかたじゃない」とでもいうのかなー。もうちょっとです。
ただ、欠点はあるにせよ、私が可能性を感じる理由は、その年齢とスケート歴にあるんですよね。プログラムを見てみれば、なんと彼は1987年生まれ!(カルガリー五輪の1年前だ…) しかもスケート歴は4年8か月ですよー。5年足らずで、ここまでやれるなんて…。あと1年たったら、どんな選手になってるんだろ。かなーり楽しみです。
・その他の選手
正直、「楽しんで見られる演技」になっていたのは、上位5、6名ぐらい。あとの24人は、まだまだ「がんばれ〜」と応援する…っていうレベルでした。もちろん、すべての人がトップ選手みたいに滑れるわけじゃないのはわかっていますが…。
そのなかで見てて一番悲しかったのは、ジャンプでコケること…ではなくて、キャメルスピンで止まりそうになることでした。ショートって、スピンの回転数が決められてるじゃないですか? でも、キャメルって回転のスピードを維持するのが難しいのでしょうか。最初からゆっくりめの回転なのに、それがどんどん遅くなってきて、最後はほとんど止まる寸前…。でも、規定の回転数に達してないからやめるわけにもいかないんですよね。途中でぱたっと止まってコケるんではないかと、本気で心配してしまいました。
でも、とにかく男子は層が薄すぎます! 女子みたいに「戦国時代」になれとはいいませんが(いくらなんでもそれは無理)、せめてもう少し…と思ってしまったのでした。

line.jpg

■女子シングル
【SP順位】
1 恩田美栄  2 安藤美姫  3 村主章枝  4 太田由希奈 5 中野友加里
6 鈴木明子  7 荒川静香  8 浅田 舞  9 浅田真央  10 竹内理恵
【全体の感想】
だれが勝つのか、やってみるまでわからない…って感じの女子シングルでしたが、フタを開けてみれば思ってもみない波乱が待ち受けておりました。以下、有力選手をその登場順でレポしてます(順位ではありません〜)。
【個々の選手について】
・中野友加里
中野友加里有力選手のなかで最初に出てきたのが彼女。シーズン当初は恩田選手に勝ったり、スケートアメリカで3回転半を決めたりして大いに話題になりました。彼女のショートの最大の特徴は、3回転半からのコンビネーションを入れていることで、これが決まるかどうかが運命の分かれ道…みたいなところがあります。ほとんど一発狙いみたいですけど、そうでもしなけりゃ世界選手権代表の切符を掴むのはむずかしいですからねー。
で、その3回転半ですが、降りたのは降りたんです。けれど、着氷で態勢が崩れ、次の2回転の前にスリーターンとステップが入ってしまい、うまくつなげることができませんでした。惜しかったです。でも、その果敢に攻めてくる精神には、拍手を送りたいです。
あと、もうひとつ思ったのが、テレビで見たときより表現面はずっと良くなってる…ということです。この選手、絶対に「ジャンプだけ」じゃない!と思いました。スピンの回転も速かったですね。この速さが、ジャンプの回転の速さにもつながってるのかなー。
とりあえず、彼女の演技が終了した時点(4番滑走)ではダントツのトップに立ちました。
・安藤美姫
安藤美姫今まで、ファン以外の人は彼女の名前なんてまったく知らなかったでしょうけど、先日の「4回転効果」で一気に有名人になってしまいました。まあ、私も彼女の存在を知ったのは昨シーズンなので、大した違いはないんですけど(笑)。でも、それだけに、彼女の滑りを「一度ちゃんと見てみたい」ってのがありました。演技直前の6分間の練習時間から、私の目はかなり、彼女に釘付けになってましたね。
第一印象は、まずは「スタイルがいい…というか、手足がすごく長い子やな〜」というものでした。最近の選手は昔に比べて格段に格好よくなってきてるんですけど、彼女は特に手が長い! これって、うまく使えればものすごい武器になりますよね。同じ手の動きでも、長いとそれだけいろいろな表現ができますもん。
そして演技開始。練習では少しミスもあった3回転ルッツ−3回転ループのコンビネーション、これをきれーに決めると、次は単発のステップからのフリップ(だったと思う)。こちらも成功。最後の2回転半はまったく危なげなし、で、ほとんどノーミスの演技でした。本番でここまできっちり決められるとは…。しかも、まだ15歳ですよ〜。たしかに凄い選手です。
ただ、ジャンプに関してはそれほど高いとは思いませんでした。いや、もちろん高いのは高いんですけど、「3回転半の伊藤みどり」と比べると…うーん、ちょっと苦しいかなあ…。まあ、彼女と比較しちゃいけないんでしょうけどねー。
滑り終わって、ノーミスの安藤選手はワンミスの中野選手の上に。
・村主章枝
村主章枝この大会の優勝候補筆頭は、やはり彼女でしょう。なんといっても、昨年の世界選手権銅メダリスト。演技の完成度では、他選手の追随を許さないものがあります。ただ、今シーズンはミスが目立つ彼女にしてみれば、ショートをどうにかしてノーミスでのりきる…そこが鍵でした。
昨日の練習では、フリップにミスが目立ってたんですよね。ルッツからのコンビはだいたい決まってたと思います。だから、ショートもフリップのほうに注目してました…が、本番はやはり、なにが起こるかわからない。まさか、問題ないと思っていたルッツで、3−2が2−2になってしまうとは…。これで次のフリップを落としてしまったらどうなるんや〜と、かなり心配になりました。が、そのフリップは、たぶん「根性で降りた」ように私には見えました。はっきりいって、ランディングは危なかった。でも、それをなんとかできるところが、昨年からの世界での評価につながってるんだろうなーと思いましたね。
この時点で、村主選手は安藤選手と中野選手の間の2位につけました。
・鈴木明子
鈴木明子ジュニアの注目株の1人、という鈴木選手。聞いていたのは、「表現力はすごい、でもジャンプは低空」でしたが、実際見てみると、「ジャンプは思ったほどひどくない、でも表現力もそんなにすばらしいわけじゃない」でしたね。正直、ほかの選手に混じると、印象は薄くなってしまいますねー。ジャンプはほぼ決めてたんですが、やっぱりちょっと弱いなーと…。ちなみに順位は、中野選手の下となりました。
・荒川静香
今年の私のイチオシは、やはり荒川選手。やっぱ、あの白鳥とタイタニックは衝撃でしたもん。今年は本当に調子良さそうで、全日本は優勝もありえるんじゃないか…と思ってました。昨日の練習でも、直前の6分間でも、好調そう。行ける、と信じてましたね。
荒川静香それが、いざ滑り出してみると、まずあきらかにスピードがありませんでした。もともとスピードは豊かな選手のはずなのに、それがまったく感じられなかったんです。これは、かなり緊張してるなーと思いましたね。それでも最初の3ルッツ−2トウループのコンビネーションはしっかり決めて、「なんとか行けそうかなー」と一息ついたところに、フリップで派手な転倒…。正直、ここで失敗するとは…って感じでした。そのうえ、最後の2回転半でもミス。転倒はしなかったんですが、両足というかステップアウトというか、そういう感じの着氷になってしまいました。
いくら彼女でも、課題を二つ落としてしまってはどうしようもありません。しかもかたくなっていたせいか、演技全体がすごく小さく見えました。ふつう、テレビよりも生で見るほうが迫力も感じられると思うんですが、今日の荒川選手からは、NHK杯のときの迫力とか存在感とか、そういうのが消えてしまってました。
私が今季、荒川選手に世界選手権に出てほしいのは、「あのプログラムは絶対に世界の舞台で披露すべき」と思うからなんですよね。国内だけの注目で終わらせてほしくないです。
この時点で、荒川選手は鈴木選手より下の5位。厳しさを予感させる順位になってしまいました。
・太田由希奈
太田由希奈先日のジュニアグランプリで見事優勝したのが太田選手。世間では、4回転の安藤選手にばかり注目が行ってましたけど…。でも、太田選手の表現力は、ファンの間では折り紙付き。彼女にもかなり期待を抱いてました。
太田由希奈ぱっと見て、かなりバレエとかダンスとか、とにかく「踊る」ことに重点を置いてる子だなーというのはわかりましたね。きれいに踊ることに、すごく神経を使ってる。今はジュニアですけど、シニアに混じっても完全にトップクラスです。
ただ、やはりジャンプが少し弱いですね。今日は全部決めてはいたんですが、すべてがなんとなーく回転不足気味に見えました。今からジャンプ力を強化するのは、ちょっと難しいかなあ…。なら、回転を速めて、とにかく「回りきって着氷する」ように心がけてほしいです。今のままだと、年齢がいくにしたがって、どんどん跳べなくなってしまいそう…。筋力アップも図ってほしいですね。
滑り終わって、彼女は村主選手と中野選手の間に。荒川選手、ますますきびしくなってきました…。
・浅田真央
浅田真央ある意味、私が最も注目していた選手です。とにかく「見てみたかった」んですね。なんたってまだ12歳。天才小学生なんて、まるで伊藤みどりさんの出てきたころみたいじゃないですか。
ぱっと見、とにかくちっちゃい! でも、ジャンプを跳ぶのに、全然失敗とか恐れてないんです。そのへんが、昔の伊藤さんにすごくよく似てると思いましたね。コーチも山田先生だし。この日はコンビネーションで失敗してしまって9位スタートでしたけど、浅田真央選手は「明日が楽しみ」というよりは「来年が楽しみ」な選手です。
・浅田 舞
浅田 舞その真央ちゃんのお姉さんが舞ちゃん。この人は、かなり美人さんです。まだ中学生なんだけど、「かわいい」じゃなくて「美人」なんです。そのせいか、ジャンプが注目される妹さんよりは、若干芸術面のほうに重きを置いてるかなーと。彼女のスパイラルは、足が高く上がっててきれいでしたね。彼女も、とりあえず来年以降を注目でしょう。
・恩田美栄
恩田美栄そして、もうひとりの本命・恩田選手。有力選手のなかでは、最後の登場です。
彼女も、たぶんものすごく緊張はしてましたね。ジャンプもかなり慎重に跳んでました。でも、それでも成功させられる(完璧にクリーンとはいきませんでしたが)ところが、彼女の強さです。
動きも、テレビで見たときも思ったけど、かなりきれいになってました。昔の彼女はポジションがきれいじゃなくて、それは正直あまり見られるレベルではありませんでした。でも、改善しようとすれば、ここまできれいになれるんですよね。この調子でがんばってほしいです。ついでに、明日は3回転半を決めてほしい〜。
こんなわけで、恩田選手がすべてのジャッジから1位をもらい、首位に立ちました。
【明日に向けて】
はっきりいって、フリーで順位がどう変わるかは、まったくわかりません。もちろん、ショートの順位がいいほうが有利ですけど、これだけ混戦模様だとどうなることやら…。そんなところです。

 最終成績 12/20 12/21 12/22 写真集1 写真集2 表彰台
 トップページ冬の競技−フィギュアスケート観戦記2002年全日本選手権−12/21

「スポーツ観戦記」トップページへ