12/22(決着の日・フリー)

★男子シングル
【フリー順位】
1 本田武史  2 田村岳斗  3 中庭健介  4 高橋大輔  5 柴田 嶺
6 織田信成  7 神崎範之  8 岩本英嗣  9 小林宏一  10 田中総司
【総合順位】
1 本田武史  2 田村岳斗  3 中庭健介  4 高橋大輔  5 柴田 嶺
6 織田信成  7 岩本英嗣  8 小林宏一  9 神崎範之  10 田中総司
【個々の選手について】
田村岳斗・田村岳斗
最終組の一番目に登場したのが田村くん。ショートは3位、2枚しかない…というよりは、実質残りの1枚の世界選手権代表切符を高橋くんと争っていて、ここはなんとしても負けられない状況でした。
出だしに連続して入る四回転は、なんとか二つとも降りました。ただ、お世辞にもクリーンとは言い難く、続くジャンプも三回転半はやはり失敗、サルコウは二回転に、とすっきりしない出来。
とにかくすべてが危なっかしいんです。それはどうしても、彼のレベルを低く見せてしまうことになるんですよね。ショートではプレゼンの面でも進歩したと思ったのに、それもフリーの長丁場になると、なんとなーく間延びした感じだし…。
四回転が入ったことで点数はそこそこ出ましたが、今のままでは世界に出ても結果は見えてます。もうちょっと、演技の精度を高めてほしいです。
柴田 嶺・柴田 嶺
昨日、いきなり「注目株」になった柴田くんですが、今日のフリーもかなり期待通りの演技を見せてくれました。持ち味の表現力は、長いプログラムになっても健在。ビールマンスピンなんかも見せてくれて、身体の柔らかさをアピールしてましたねー。男子でビールマンをやっても不自然にならないところがスゴイ。
ジャンプも、ルッツからのコンビネーションをはじめ、三回転はかなりきれいに決まってました。が、やはりアクセルは苦手なのか、チャレンジはしたものの失敗。四回転はともかく、まずは三回転半をきちんと跳べるようにすることが課題でしょう。とにかく、このまま伸びていってくれれば…と思います。次が楽しみなのにはちがいないですね。
高橋大輔・高橋大輔
前日のショートでは2位につけ、世代交代なるか…と思わせてくれた高橋くんでしたが…。
四回転の転倒は仕方ないとして、続く三回転半も失敗。再度チャレンジするもまたも降りられず、で、結局三回転半以上のジャンプはひとつも入らないまま、演技を終えることになりました。さすがにその内容では、高得点は望むべくもないですよね。ほとんどのジャッジに田村くんより低い点をつけられてしまうことになりました。
彼の場合、難度の高いジャンプは三回転半だけ。四回転は決まらないし、ジャンプがだめだった場合に、カバーできるなにかをまだ持ち合わせてないんです。今はまだ力不足、かな。もう少し待てば…とは思いますね。
中庭健介・中庭健介
田村、高橋両選手とも出来はイマイチで、ショート4位の中庭くんにも俄然チャンスが出てきました。そして、出だしの四回転をものすごくクリーンに決め、中庭くん思わずガッツポーズが出ます。続くルッツからの3−3のコンビネーションは、セカンドジャンプで惜しくもステップアウト。このあたりまではまだ彼にも可能性があったのですが、続く三回転半の失敗で苦しくなり、結局それから最後まで大技を入れることはできませんでした。
中庭健介ジャッジの評価は3位。アクセルを決めていれば一気に中庭くんに傾いたでしょうに、もったいなかったです。
ただ、最初の四回転、本当にものすごくきれいだったんですよね。あれを毎回決めることができれば、今後評価は上がってくると思うのです。大化けする可能性は秘めてるんじゃないでしょうか?
・本田武史
正直優勝は、「滑る前から決まってる」本田くん。彼に求められるのは、いかにミスなく滑るか、でした。
さて、NHK杯後、「プログラムを変えろ」と言われたとかで、いったいどうするんだろう…と思ってたんですが…。でもって、本番前の6分間の練習のとき、ジャージを脱いだ本田くんの衣装は、「ゾンビじゃなくなってる〜」でした。やっぱり、あれはもう使わないんでしょうか? 地味っちゃ地味ですけどねー。アランフェスみたいに、感動できるストーリーがあるかといわれたら「…」だし。つーか、私、映画見てないし(笑)。しかし、そのまったく初めて見るプログラム、滑り込みとかできてるんかなーと期待半分、不安半分で演技開始を待っておりました。
本田武史でも、プログラム変わる…ってことは、ジャンプの順番も変わるってことだったんですね。いつもはフリップから入るのに、今回はいきなり四回転トウループからで、ちょっと面食らいました。そして転倒…。一瞬、「やっぱりアカンかったかぁ〜」と悲観的になってしまった私。が、すぐに「サルコウがある」と気持ちを切り換え(私が切り換えても、なんにもならないんですけど)、次を待つことにしました。が、そのサルコウは三回転になってしまって、また落としたか〜とがっくり。ここのとこ調子を落としていた三回転半はなんとか決めましたが、3.5−3のはずが二つ目のジャンプは二回転。そして、再度挑戦した四回転トウループもまたしても三回転になり、結局四回転は一度も入らずじまいになってしまったのでした。NHK杯では三度目の正直、で決めてくれたから、期待してたんですけどねー。
本田武史ただ、このプログラムの見せ所は、ステップシークエンスにありました。ものすごく細かいステップで、魅せる魅せる! ストレートのシークエンスからコンビネーションスピン、そしてフィニッシュ…となるところは、もう本田くんの独壇場って感じでしたねー。四回転が入ろうが入るまいが、格が違うんですよ。もちろん、世界ではそういうわけにはいかないし、とりあえずはもう少しこのプログラムを滑り込んで、そしてもう一度見せてほしいですねー。

→写真集その1

★女子シングル
【フリー順位】
1 村主章枝  2 荒川静香  3 恩田美栄  4 太田由希奈 5 中野友加里
6 安藤美姫  7 浅田真央  8 浅田 舞  9 鈴木明子  10 鍵田祐子
【総合順位】
1 村主章枝  2 恩田美栄  3 荒川静香  4 太田由希奈 5 安藤美姫
6 中野友加里 7 浅田真央  8 浅田 舞  9 鈴木明子  10 竹内理恵
【全体の感想】
とにかくいえるのは、「全日本史上、まれに見る高レベルの戦い」だったということです。ジュニアがすごい…っていうのは聞いてたし、興味の半分はそこにあったんですけど、まさかあれほどとは…! シニアの選手は、トップ3を除いてのきなみ撃沈…って感じでしたね。でも、上の3人は、やはり貫禄勝ちかなー。なにはともあれ、見応え充分な女子シングルでした。
【個々の選手について】
浅田 舞・浅田 舞
第3グループの最初に登場したのが、浅田姉妹の姉、舞ちゃん。出だしからトリプルアクセルに挑戦して、場内を沸かせてくれます。が、着氷が乱れて成功はならず。3ルッツ−3ループのコンビネーションも、セカンドジャンプが両足着氷。全体にもう少しランディングがきれいになれば、もっと見栄えがするのに…と思うんですけど。でも、ルッツは2回決めてたし、なかなかの演技でした。とにかく、難しいジャンプに挑戦していく姿勢がいいですねー。
・浅田真央
6分間の練習から高難度の技を連発してくれて、かなり注目を浴びていた真央ちゃん。プログラムの最初のジャンプは、やはり三回転半です。練習のときはけっこう転んだりしてたんですけど、本番では見事に降りてくれて、場内からは大きな歓声が…! ちょっと回転は不足してたかなーと思ったけど(あとでテレビ中継を見てみると、やっぱりそうでしたが)、それでも12歳の子がトリプルアクセルですよー。これはやっぱ、すごいって思いましたよね。
浅田真央そして、続くジャンプは、3フリップ−3ループ−3トウループのコンビネーション。このときの観客の反応がまたすごかったんです。最初のフリップでは拍手、次のループでは歓声、そして最後のトウループでは驚愕の声。パチパチ→わーっ→うおぉ〜っ!って感じですよ。セカンドジャンプが三回転のループだったら、やっぱり観客の反応がいいんですよね。見た目だけでも難しいのがわかるし。だから、練習でもけっこう客席は沸いてたんですけど、でもその上にトウループがつくと、もう「信じられない!」としか言いようがないんです。
しかも、その次のコンビネーションも、3ルッツ−3ループの組み合わせ。そして成功。あまりに凄い技の連続に、会場全体が興奮の渦に巻き込まれてましたねー。そのあとも、1回だけサルコウでふらついたぐらいで、ほとんど完璧な出来。もう、「なんて書いたらいいかわかんない」ってぐらい、場内は大興奮。思わず私は、カルガリーの伊藤さんを見た観客たちって、こんな状態だったのかなーなんて、考えてしまいました(そういえば衣装も、以前伊藤さんが着てたものだったよーな。きっと、伊藤さんからもらったんでしょうねー)。
真央ちゃんは、スケートファンの間ではけっこう有名だったし、注目もしてたけど、それでも実際見てみるとやっぱ凄かったです。久々に、エキサイトさせてくれるスケーターが現れた、って感じですね。
荒川静香・荒川静香
第3グループ最後は、このフリーにすべてがかかる荒川さん。ショートの順位からみて、いい演技さえすれば表彰台の可能性があると見てました。とにかく、ショートみたいなガチガチの状態じゃどうしようもない。グランプリのロシアカップのときは、「ショートで失敗して、フリーは開き直って滑ったら、いい演技ができた」そうなので、今回もそういう気持ちで臨んでくれれば…と思いましたね。
荒川静香滑り出してまず感じたのは、スピードがある、ということ。これは行けるのでは…と感じました。その通り、3ルッツ−2トウループのコンビネーション成功、続く3サルコウ−3ループも成功。ステップに切れもあったし、失敗といえば二度目のルッツがダブルになったことぐらい。NHK杯では最後ちょっとガタガタってなっちゃいましたけど、今回はトウループのコンビネーションもダブルアクセルも全部決まって、最高!と言っていいくらいの出来で演技を終えました。
なんといっても、彼女の今年のプログラムはドラマチックですよねー。それをちゃんと表現できる技術も持ち合わせてるし。得点も、5.6〜7がずらりと並びました。最終組だったら5.8も出てたでしょうにねー。でも、この演技で、ますますおもしろくなりそうな予感がしました。
鈴木明子・鈴木明子
最終グループの一番目は、ショート6位の鈴木さん。踊れる人だとは思うんですが、いかんせん、ほかの選手がすごすぎて、もうひとつ目立たないんですよね。直前の組で、観客を真央ちゃんが沸かせ、荒川さんが魅了し…ってのを見てるからよけいかな。得点のほうも5.1〜2と、あまり伸びず…という感じでしたね。
・安藤美姫
安藤美姫お次は、四回転の安藤美姫ちゃん。練習ではきれいな四回転を披露してくれてました。本番でも、二回転半に続いて3ルッツ−3ループを決め、四回転への期待は高まります。…が、惜しくも転倒。そのあとは、そこそこジャンプは決めていたのですが(ループでつまずいたぐらいかな?)、なぜだろう、印象が薄いんですよ。彼女の場合、まだまだ技術先行でプレゼンは低い…のは最初からわかってるんですが、技術のほうも四回転を失敗しちゃうと、イマイチピンとこないんです。
正直、浅田真央ちゃんを先に見てるじゃないですか? 四回転の安藤さんには、それ以上のものを無意識に求めてたと思うんですね。が、特に興奮させられることもなく、あっさり終わってしまった感じ。
結局彼女の場合、ジャンプの失敗をカバーできるだけの「何か」を、まだ持ち合わせてないんです。たぶん真央ちゃんだったら(比較してばかりだけど)、最初の三回転半を失敗してても、みんな魅了されたと思うんですね。それだけのパワーがある。でも安藤さんは、なぜか物足りないんです。
そのへんが、これからの課題なんでしょうねー。まあ、まだまだ若い彼女だし、そんなに早く完成させなくてもいいのかもしれません。
得点のほうも伸びず、フリーはこの時点で荒川さんに次いで2位。総合ではトップに立ちましたが、2人の得点差からみて順位はそのうち入れ替わるだろうなーと思われました。
中野友加里・中野友加里
次の中野友加里ちゃん、見せ場はやはり三回転半。最初から果敢に挑んだものの、大きく転倒してしまいます。でも、彼女のことだから絶対2回目も挑戦してくるはずだと思ってたら…やってくれたんですよねー。しかも、コンビネーションで! なんというか、その「心意気」がいいですよねー。失敗してもチャレンジして、そしてついには成功させてしまう…。すごいです。ただ、途中のコンビネーションでは3−3を入れてきたものの、惜しくも両足着氷。全体に粗さがが目立ってしまうのがつらいところです。これからは、ジャンプもそれ以外でも、技の完成度を高める方向で行ってほしいですねー。
中野さんは「アクセル効果」で5.3〜5.6と、なかなかの高得点をもらいました。
・恩田美栄
そして、初日トップの恩田さん登場〜。今季の国際大会での活躍ぶりと、その確実性から、優勝は堅いかなーというところでした。
恩田美栄…が、いざ滑りはじめてみると…。なんていうか、突出したものが感じられないんですよね。今までだったら、ジャンプの高さと確実性でぬきんでていたけど、今回、先に浅田真央ちゃんをはじめ、ジャンプの得意な子が難しいコンビネーションとか、三回転半とか四回転とか、バンバン跳んできたじゃないですか? はっきりいって、恩田さん霞んじゃうんですよね。フリーでも、ほとんど決めてはいたけど、ジュニアの子たちと比べてそんなにいいとは思えませんでした。表現力という点でも今季良くなったとは思うけど、まだ動きがマシになった程度で、とても「なにかを伝える」レベルまではいきませんからねー。
結局、後輩のジュニアの台頭で一番割を食ったのが、恩田さんだったのかもしれません。表示された得点はそこそこ高かったものの、ほとんどのジャッジに荒川さんより下の順位をつけられてしまいました。もちろん、総合ではトップに立ちましたけど。
・村主章枝
村主章枝そして、「女王」登場です。滑り出してすぐ、昨日とは違う、っていうのはわかりましたね。スピードが乗ってるし、なんか最初からオーラを感じました。そして、3ルッツ−2トウループ成功。調子の良くなかったフリップも降り、苦手のループもやや回転不足ながら着氷。ループが決まった瞬間、会場が沸きました。みんな、彼女がループ苦手って知ってるから。
そのあとはもう危なげなし。二度目のルッツは二回転になりましたが、それ以外はほとんどパーフェクトな出来で演技を終えました。
それに、やっぱり彼女の表現力は、すごいです。ジャンプをバンバン跳ぶジュニアはすごいけど、やっぱり総合力で観客を魅了してくれる…。一言「キレイ〜」なんですよ。やっぱ、世界に一番通用するのは彼女かなーと思いましたね。
得点が表示されて、技術点はさすがにあまり伸びなかったんですが、芸術点が5.8とかずらーっと並んで、フリーは1位。村主さんが佐藤信夫コーチと抱きあって泣きじゃくっているのが印象的でした。
・太田由希奈
太田由希奈そしてついに最終滑走者。ジュニアグランプリ優勝で表現力が武器の太田さんは、その持ち味をいかんなく発揮してくれました。彼女の踊りは、本当にシニアのなかでもトップクラスでしょう。しかも、この日は苦手と思われていたジャンプも次々に成功させ、彼女の地元・京都ということもあって会場は沸きに沸きます。結局最後までミスらしいミスはなく、喝采のなか演技を終えました。
ただ、表示された得点はあまり高くなく、フリーだけでは4位、総合でも4位で会場からはブーイングが…。たしかにいい演技ではありましたが、ただ、技術点は多少低くても仕方ないとは思いましたね。やっぱり、ジャンプでは少し落ちるんです。あの村主さんだって技術点は抑えられてたし。でも、プレゼンのほうはもう少し出してもいいんでは、とは感じましたけど。私としては、恩田さんよりも印象度は上でしたね。
来季、彼女がシニアに上がったときが見物ですね。
【演技を終えて】
浅田真央ちゃんが、カルガリーのときの伊藤みどりさんみたい…と書きましたが、最終グループの演技を見てて、ふっとこう思いました。真央ちゃんがみどりさんなら、ビットとトーマスが村主さん、恩田さん、荒川さんの3人で、地元のエリザベス・マンリーが太田由希奈ちゃんかな〜と。いやはや、私のなかではあのカルガリーに匹敵するくらいの密度の濃い戦いでした。

→写真集その2

最終成績&総評  12/20(勝負前日)  12/21(前半戦)  12/22(決着の日)
写真集その1  写真集その2  表彰台の風景
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