2005年のトピックス           10

8月31日
ボートの世界選手権第3日、なんと日本の浦和重選手が世界最高記録をマークするという、とんでもないことをやってのけました。男子軽量級シングルスカルの敗者復活戦2組で、世界最高の6分46秒52を記録。もちろん1着となり、翌日の準決勝へ進出しました。日本選手が世界最高記録をマークしたのは五輪や世界選手権、W杯を通じて初めてのことだとか(そりゃそうでしょう)。
しかも、浦選手は右肋骨の疲労骨折で1か月半練習ができないことがあって、今でも痛みはひいていないそうですからねー。でも、この日のレースでは、その痛みも「忘れていた」とか。長良川の流れや追い風は、助けにはなったようですが、いくら条件が揃っても、実力がなければ世界最高なんて出ないですからねー。今季から日本チームを見ている、イタリア人コーチも「最高の出来」と絶賛していたそうです。
欲をいうなら、このレースが敗者復活戦でなくて、決勝だったらなーということですが…。まあ、それは仕方のないことなので、とりあえずは次のレースに疲労を残さないようにしてほしいですね。
卓球のアジア選手権第5日、女子シングルスで福原愛選手が準々決勝に進出しました。3回戦はシンガポールの選手を4−1で破り、4回戦でも中国の劉詩ブン選手を4−1で撃破。また、藤沼亜衣選手と組んだ女子ダブルスでも、準々決勝で林菱/桑亜嬋組(香港)に3−2で勝利し、ベスト4へ駒を進めました。福原選手の「もう1試合やりたいくらい」という言葉からも、かなり調子に乗っているのは確かなようです。やはり、中国での武者修行?は、かなり実になっているんですねー。
前日にベスト4入りを果たした混合ダブルスの吉田海偉/福岡春菜組は、準決勝で王励勤/郭躍組(中国)に敗れ、残念ながら決勝進出はなりませんでした。

8月30日
箱根駅伝の名物、山登りの5区が延長されることになりました。これまでの20.9kmから、一気に23.4kmへ延びるそうです。長くなった分は、前の4区が短縮されることになります。これまででさえたいがい過酷だった山登りが、これからはさらに厳しくなりそう…。ペース配分を間違う選手も出てくるかもしれませんねー。
目的は、世界と戦える長距離・マラソン選手の育成を図るためで、4区を短かくするのはトラックのランナーにも出場機会を与えるため…だそうです。1月2日はやはり、テレビに釘づけになってしまいそうです。
卓球のアジア選手権第4日、女子シングルス2回戦で、福原愛選手はインドネシアの選手に4−1で勝って3回戦へ進みましたが、梅村礼選手は台湾の選手にフルセットで敗れました。男子シングルスの岸川聖也選手らは1回戦を突破し、混合ダブルスでは吉田海偉/福岡春菜組がベスト4入りを果たしています。
ボートの世界選手権第2日は男女10種目の予選が行われ、メダルが期待される男子軽量級ダブルスカルの武田大作/須田貴浩組は、4組2着となって敗者復活戦へ回ることになりました。1着のドイツとかなり競ったレースになったそうですが、最後は及ばなかったようです。そのほか、日本勢は8種目に出場しましたが、やはり全員が敗者復活戦に回っています。

8月29日
北海道マラソン女子は、千葉真子選手が大会新となる2時間25分46秒の好記録で、2年連続三度目の優勝を果たしました。昨年はアテネ行きを逃し、北海道マラソンは優勝したものの、世界陸上代表をねらった11月の東京国際は4位。2月に小出氏のもとから独立し、果たして競技力が維持できるのかなーと思っていましたが、夏のマラソンで2時間25分台を出すとは、鮮やかな復活ぶり。レース内容も、最初からほかの選手を置き去りにして独走と、あっぱれ…!という感じでした。2位は嶋原清子選手で、シドニー五輪代表の市橋有里選手が、久々のマラソン出場で15位に入りました。
また、男子は渡辺共則選手が2時間14分50秒で初優勝しています。
卓球のアジア選手権第3日は、男女団体の決勝などが行われました。女子は香港が韓国を3−0で下して6大会ぶりに優勝し、男子は中国が3−0で韓国に勝って、こちらは4大会連続15回目の優勝を飾っています。
岐阜県の長良川国際レガッタコースで、アジア初となるボートの世界選手権が開幕。この日は男女あわせて9種目の予選が行われました。ですが、日本勢はだれも予選を突破できず、男子軽量級シングルスカルに出場した期待の浦和重選手は4組3着で敗者復活戦へ。そのほかの日本勢もすべて敗者復活戦へ回ることになりました。浦選手くらいはなんとか…と思ったのですが、やはりそう簡単にはいかないようです。
陸上400mハードルの為末大選手が、右アキレス腱痛のため9月のワールドアスレチックファイナルを欠場することになりました。世界陸上で銅メダルを獲得しているだけに、トップ選手だけが出られるこの大会は、ぜひ走りたかったと思いますが…。為末選手曰く「世界陸上の決勝レースで、アドレナリンが出すぎて限界を超えてしまったのでは」とのこと。やはりあれは、極限状態の走りだったんでしょう。ここで無理せず、しっかりと治してほしいですね。
アメリカのサンフランシスコで開かれている、ヨットの470級世界選手権は28日が最終日。この日行われた2レースで、女子の田畑和歌子/栗田直美組は8位と11位をとり、総合で14位となりました。井嶋千寿子/加藤彩香組は28位、鈴木美帆/池本碧組は32位でした。また、男子の関一人/柳川祥一組は、この日18位と16位で総合24位。以下、松永鉄也/上野太郎組は40位、白石潤一郎/谷川亮介組42位、谷口斉謙/吉見亮平組45位、吉峰秀樹/黒川義之組51位、新居健太郎/森田栄納介組は55位でした。

8月28日
卓球のアジア選手権第2日、この日から団体の決勝トーナメントが行われました。日本女子は1回戦のウズベキスタン戦に勝ったものの、準決勝では香港に完敗。3位となりました。福原愛選手と福岡春菜選手は、どちらもフルセットまでがんばったそうですが、あと一歩及びませんでしたね。また、男子は1回戦で強豪・韓国と当たり、あえなく敗退。ただ、5−8決定戦ではシンガポールに、5−6位決定戦ではインドに勝って最終成績は5位となっています。

8月27日
卓球のアジア選手権が韓国の済州島で開幕。第1日は男女団体戦の1次リーグが行われ、日本は男女ともその組の1位となって、上位8チームで争う決勝トーナメントへ進出しました。まあ、ここは通過して当たり前、日本にとっては次からが勝負です。28日には男子が準々決勝、女子が準決勝まで行われて、29日に団体優勝国が決まることになっていますが、日本はどこまで行けるでしょうか?
ソフトボールは2012年のロンドン五輪から廃止がすでに決まっていますが、国際ソフトボール連盟の会長は、26日にIOCに対してこの撤回を求めていく方針を明らかにしました。これを受けて翌27日、日本ソフトボール協会も協力を表明。なんでも、IOC総会で存続か廃止かを決める投票が行われた際、どちらも得たのは52票だったんですね。国際ソフトボール連盟にしてみれば「廃止のほうが多数だったわけでもないのに、なんで切り捨てるんだ?」ってことになるのでしょう。日本側は、投票のやり直しを求めて、IOC委員に手紙を送るそうです。可能性は低そうですが、地道な努力が実ることを願います。

8月24日
マラソンの高橋尚子選手が、9月4日にアメリカのバージニア州で行われる、ハーフマラソンの大会に出場するそうです。11月の東京国際に向けて、これが第一歩ですね。少しはレース感もとり戻せるでしょうか?

8月23日
上月スポーツ・教育財団の、2005年度スポーツ選手・指導者支援事業認定式が行われました。これは1か月に5万円ずつ、1年間にわたって助成金が支給されるもので、今回は44人が対象だそうです。顔ぶれは、柔道の高井洋平選手、ジャンプの船木和喜選手、陸上のホープ・金丸祐三選手などだそう。活動資金をどう調達するかは、スポーツ選手にとって大きな問題なだけに、こういう制度があるのはうれしいですねー。額はそう多くなくても、月に5万円はかなりの助けになってくれそうです。

8月22日
マラソンの高橋尚子選手が、11月の東京国際女子マラソンに出場することを発表しました。2年前、アテネ五輪の代表を勝ちとるべく臨んだこの大会では、終盤まさかの失速で2位に落ち、五輪出場を逃しました。以来、骨折などもあって「もしかしたらこのまま引退か…」とも思われましたが、今回は満を持しての登場のようです。
本音をいうと、できれば記録の出やすい大阪か、縁起の良い名古屋に出てほしかったのですが、スポンサーとのからみもあって、やはり東京を回避することはできないようですね。悪夢を断ち切って、いい走りをしてほしいです。

8月21日
ビーチバレーの男子日本一決定戦・ビーチバレージャパンで、白鳥勝浩/西村晃一組が初優勝を果たしました。白鳥選手は昨年まで渡辺聡選手とのコンビで、この大会3連覇しているのですが、今回は新たに西村選手と組んでの優勝となりました。
また、個人の総合成績で争う女子のBSジャパンマーメイドカップは、佐伯美香選手が初優勝しています。

8月20日
9月にカイロで行われる世界柔道選手権の出場選手のうち、棟田康幸選手と高井洋平選手は、100kg超級または無差別級の代表として選ばれていて、どちらがどの階級に出るか決まっていなかったのですが、それがようやく発表されました。100kg超級が棟田康幸選手、無差別級が高井洋平になったそうです。力のある選手がエントリーされるのは、やはり100kg超級のほうだし、ここは実績のある棟田選手に任された…というところでしょうか。100kg超級は大会初日に行われるので、ここで波にのっていってほしいです。
バドミントンの世界選手権第5日、前日に女子シングルスでベスト8入りを果たした森かおり選手ですが、この日の準々決勝ではアテネ五輪金の張寧選手(中国)と対戦。4−11、6−11のストレートで敗れました。まあ、相手が相手だけに仕方ないのかなぁ…。でも、ここまでくれば上位シードの選手と当たるのは当然だし、そこで勝てなければずっと上には行けないままなんですよね。いつか、この壁を突破してほしいです。

8月19日
現在、アメリカのカリフォルニア州では、バドミントンの世界選手権が開かれています。その第4日(18日)、女子シングルスで森かおり選手が3回戦を突破し、ベスト8入りを果たしました。次に勝てば、この種目では1977年の第1回大会以来のベスト4となるそうです。バドミントンでは、こんな感じで忘れたころに好成績を挙げてくれるのですが、いかんせん単発であとが続かないんですよね。なんとかここで、日本のランクアップをねらってほしいものです。

8月12日
私が最も楽しみにしていた男子4×100mリレーは、無念の決勝8位となりました。決勝が1レーンに決まったときから、不利は覚悟してたんですけど、メダルは無理かもしれなくても、バトンだけはスムーズにつないでほしいと願ってました。それができなかったのは、走った4人にとっても、ものすごく悔しいことだったろうなぁ…。そんな思いだけはしてほしくなかったです。
今日は、男子マラソンで久々にメダルをとってくれて、とてもうれしい日のはずなんですけど、私にとってはリレーのショックのほうが大きいです。マイルリレーも予選落ちしてしまったし、最終日を前にして力が抜けてしまいました。また、2年後に望みをかけるしかないんでしょうね。
9月に行われる柔道の世界選手権で、鈴木桂治選手が「特命キャプテン」を務めることになったとか。単に主将になっただけかなーと思ったら、本当の主将は最年長の江種辰明選手だそうなので、どうやら「お前がみんなを引っぱってくれ」的な役割みたいですね。任命したのは斉藤ヘッドコーチとのことで、やっぱり鈴木選手には大きな信頼を寄せているんでしょうねー。当の鈴木選手は、プレッシャーからか、なんと口ひげが円形脱毛症になってしまったらしいのですが、そんな重圧も鈴木選手なら跳ね返してくれそうな気がしますね。

8月9日
世界陸上選手権第4日、為末大選手が男子400mハードルで見事に銅メダルを獲得しました。
・男子やり投げ
 予選
 27 村上幸史 68m31 予選敗退
・男子棒高跳び
 予選
 10 澤野大地 5m45 決勝進出
澤野選手が5m60の3回目に失敗したとき、絶対に予選落ちしたと思いました。普通なら、5m45で決勝に行けるなんてありえませんから。まさか、装置?の一つが壊れるなんて、だれが予想したでしょうか…。しかも、ものすごい強風が吹き荒れて、条件は悪くなる一方。結局、暫定的な通過記録の5m60すら、ほとんどの選手が越えられないままでした。
澤野選手が決勝で跳ぶところを見たかったので、ラッキーではあるけれど、とてもうれしいです。どういう形であれ、決勝進出には違いないですもんね。決勝では、いい跳躍を見たいです。
あと、決勝の日には、風がおさまってるといいんですけどねー。棒高跳びって、ものすごく風の影響を受けやすい種目なんですよね。この大会は風が強くて、トラック種目も記録が低調だし、そろそろおとなしくなってほしいです。
・男子200m
 一次予選
 2(5組) 末續慎吾 20秒85 二次予選進出
 4(7組) 高平慎二 21秒03 一次予選敗退
レース後に「緊張した」と話していた末續選手ですが、けっこう落ち着いてレースを進めていたように見えました。前半で前に出て、最後は自分の順位を確認しながら流してゴール。このところは100mばかり走っていた末續選手ですが、やはり200は専門種目。走るうちに身体が思い出したんじゃないでしょうか。
・男子400m
 予選
 5(4組) 佐藤光浩 45秒78 準決勝進出
ようやく佐藤選手が、予選を突破してくれました。前半から積極的に行って、最終コーナーを回ったあたりでは2位につけていたのですが、ゴール前で後続に抜かれ、5位でフィニッシュ。ただ、タイム的にはまずまずで、タイムで拾われて準決勝進出が決まりました。
佐藤選手の場合、最後のスピードダウンがなければ、かなりいいところまで行けそうなんですよね。まあ、それが難しいんですけど…。
・女子走り幅跳び
 予選
 14 池田久美子 6m51 予選敗退
2本目はかなりいい跳躍で、予選通過まであと2cmだったんですけどねー。3本目は、思い切り行った…という感じでしたが、惜しくもファウル。距離がかなり出ていただけに、本当にもったいなかったです。ただ、2年前の大会では、池田選手は全然自分の力を発揮できないままだったんですよね。でも、今回はしっかり跳んでくれたので、それは良かったです。これからは海外でも、国内の大会のように、最後の跳躍で力を全部発揮できるようになってほしいですね。
・女子800m
 決勝
 
 カラタイウド(キューバ) 1分58秒82
  ベンハシ(モロッコ) 1分59秒42
  アンドリアノワ(ロシア) 1分59秒60
ムトラ選手、さすがに全盛時のラストのキレはありませんでしたね。以前なら、完全な勝ちパターンだったんですけど。キューバのカラタイウド選手が、お株を奪ってしまった感じの走りで、金を獲得しました。しかし、あのラストのスピードは…。なんであんなにすごいバネがあるんでしょう。
・男子400mハードル
 決勝
 
 ジャクソン(アメリカ) 47秒30
  カーター(アメリカ) 47秒43
  為末 大(日本) 48秒10
びっくりしました〜。まさか為末選手が、メダルをとってくれるとは! 今年は、調子は上向きではあったけど、絶好調だった4年前に比べたらまだまだ…と思ってたんですよね。それに、準決勝だってタイムで拾われてギリギリ通過。最後の組が終わるまで、ずっとハラハラのしどおしでしたから。
決勝では、為末選手のいつものスタイルで、前半からいい感じで飛ばしてるようには見えたのですが、たぶん最後で失速して5〜6位あたりに落ちるだろうと思いこんでました。ラストの直線に出てきたところでは、かなり後ろの選手に詰められてたし、このままズルズル後退していくのがパターンなんですよね。
ところが、今回に限ってはそうじゃなかった! 2人の選手には抜かれたものの、それからは粘って粘って…。最後は、内側の選手とは紙一重の差で、飛び込むようにゴール。でも、私の目にも少しだけ為末選手のほうが早く、ゴールラインに到達したように見えました! そこから結果が出るまでの時間が、とんでもなく長く感じられましたねー。
それにしても、あのゴール前の50mほどの走りは、神懸かり的なものを感じましたね。でも、ああいう状況で、自分の力を限界まで発揮できる選手だからこそ、2回もメダルをとれたんだろうなーと…。深夜までがんばって起きてた甲斐がありました。
ところで、あとで本人の話を聞いてみると、天候が悪くて若い選手が動揺するなか、為末選手はかなり冷静に対処してたようです。前半の速い入りも、ほかの選手を撹乱する意味もあったとのこと。そういう作戦って、下手をすると自分だけが疲れてしまうはずなのに、ちゃんと功を奏したというのがすごいですねー。

8月8日
世界陸上選手権第3日、女子3000mSCの決勝に進出した早狩実紀選手は、12位となりました。また、室伏広治選手が欠場した男子ハンマー投げは、前回大会優勝のティホン選手が制しました。
・男子ハンマー投げ
 決勝
 
 ティホン(ベラルーシ) 83m89
  デフヤトフスキー(ベラルーシ) 82m60
  ジョルコフスキ(ポーランド) 79m35
・女子100m
 決勝
 
 ウィリアムズ(アメリカ) 10秒93
  キャンベル(ジャマイカ) 10秒95
  アーロン(フランス) 10秒98
かなりきわどい勝負でした。残り20〜30の地点で、上位3人がほとんど並んで、だれが勝ってもおかしくない状況だったのですが…。そこからわずかにウィリアムズ選手が前に出て、そのままゴールへ飛び込みました。タイムを見ても本当に僅差。しかもレベルの高い戦いでした。女子100、200では、ドーピング問題や世代交代などで、トップ選手の顔ぶれがかなり変わってきましたけど、いつの時代でも強い選手は出てくるもんですねー。
・女子走り高跳び
 決勝
 
 ペリークイスト(スウェーデン) 2秒02
  ハワード(アメリカ) 2秒00
  グリアン(スウェーデン) 1秒96
・男子10000m
 決勝
 
 ベケレ(エチオピア) 27分08秒33
  シヒネ(エチオピア) 27分08秒87
  モソップ(ケニア) 27分08秒96
 19 三津谷祐(日本) 27分57秒67
 22 大森輝和(日本) 28分59秒46
こういう大きな大会で、10000mのレースを見るたびに、日本と世界との差がどんどん開いていってるのを思いしらされます。今回も、やっぱりそうでした。
レース開始早々から、大森選手が前へ出て引っぱったんですけど、それも3000mもたず。一度後方の選手に抜かれると、あっという間に最下位へ落ちてしまいました。もちろん、積極的に行くことが悪いわけじゃないれど、周りは自分より強い選手ばかりなんだから、できるだけ長くついていって揺さぶりに耐える…というレースをしたほうが良かったような気がします。
日本国内のレースでは、外国選手のグループがいつも先頭を走ってて、日本の選手は最初からつくことをあきらめてる状態なんですね。前は外国選手の集団、かなり離れて日本勢の争い…という感じ。たま〜に外国選手についていこうとする選手もいますが、すぐに振り落とされるし、たいていの選手は最初から2番手グループにいますからねー。国内でもそうなのに、世界陸上でいきなり前に出ても…と思うんですけどね。前に出るなら、せめて中盤すぎまでついていって、それからにしてほしかったなぁ…。
勝負が始まったのは、大森選手が落ちてからでした。いろんな選手が代わる代わるトップに出て、そのだびにペースが変わって、とにかく本当にタフでないと絶対についていけないレースになってました。粘っていた三津谷選手も、途中で限界がきてしまいましたね。しかし、そんなハードな戦いをしておきながら、最後のエチオピア勢のスピードは尋常じゃなかったです。あの身体能力の高さには、日本人は絶対に太刀打ちできない…と、ちょっと絶望的になってしまいましたね。
・女子3000mSC
 決勝
 
 インジクル(ウガンダ) 9分18秒24
  ボルコワ(ロシア) 9分20秒49
  キプタム(ケニア) 9分26秒95
 12 早狩実紀(日本) 9分48秒97
予選を見たときも思ったんですけど、女子のレースを見ていると、この種目の過酷さがよくわかります。ハードルを越えるのはともかく、水濠がかなりきつい感じ。男子なら、一流選手はほとんど足を濡らさずに越えていきますけど、女子では大きくバランスを崩す選手もいますからねー。でも、その分、これからどんどん記録が伸びていきそうです。
早狩選手は、予選のタイムは更新できなかったのですが、今回は決勝を走れたことに意義があったと思います。先頭グループにはつけませんでしたが、そう大きく離されてはいないし、粘って走れたのではないでしょうか。彼女は、どんなレースでも安定したレースをしてくれる選手だし、これからどんどん世界に出ていってほしいですね。

8月7日
世界陸上選手権第2日、男子400mハードルの為末大選手が、決勝進出を決めました。
・女子20km競歩
 決勝
 
 イワノワ(ロシア) 1:25分41=世界新
  トウラワ(ベラルーシ) 1:27分05
  フェイトル(ポルトガル) 1:28分44
 31 川崎真裕美(日本) 1:37分30
 (途中棄権) 小西祥子(日本)
・女子400m
 予選
 6(2組) 丹野麻美 52秒80
女子の短距離でようやく標準記録を切って、世界陸上への出場を果たした丹野選手ですが、さすがに世界との差は大きかったようです。まあ、こうなることはわかってたし、その差を実感できただけでも、意義はあったんではないでしょうか。とにかく、この舞台に立てなきゃどうしようもないし、ここから一歩ずつ進んでいってくれれば…と思います。
・女子七種競技
  クリュフト(スウェーデン) 6887
  バルベール(フランス) 6824
  シンプソン(ガーナ) 6375
 20 中田有紀(日本) 5735
・女子棒高跳び
 予選
 18 近藤高代 4m15 予選敗退
・男子3000mSC
 予選
 10(2組) 岩水嘉孝 8分28秒73 予選敗退
前回大会は驚きの決勝進出を果たしてくれた岩水選手ですが、今回はそこまで調子が良くなかったんでしょうねー。8分28秒は、日本国内なら優勝できるタイムなのですが、世界陸上で決勝へ行くには少々遅かったようです。2年前の走りが取り戻せれば…と思うんですけど。
・男子円盤投げ
 決勝
 
 アレクナ 70m17
  Kanter(エストニア) 68m57
  Mollenbeck(ドイツ) 65m95
・男子100m
 決勝
 
 ガトリン(アメリカ) 9秒88
  フラッター(ジャマイカ) 10秒05
  コリンズ(セントクリストファーネイビス) 10秒05
ガトリン選手の強さが際だったレースでした。前半は3レーンのスコット選手のほうが出てて、中盤までのガトリン選手は2〜3番手だったのですが、そこから一気に出ましたねー。まるで、ターボ装置でもついてるんじゃないか…と思うくらい、あっという間に加速して、ほかの選手を完全に置き去りにしてしまいました。タイムも1人9秒台の9秒88。気温がなんと18℃の悪条件で、2位が10秒05ですから、その中でのこの記録はまさに「強さの証明」って感じですよね。いい条件が揃えば、世界記録を出すのも時間の問題かもしれません。
・女子三段跳び
 決勝
 
 スミス(ジャマイカ) 15m11
  サビネ(キューバ) 14m82
  ピヤティフ(ロシア) 14m78
・男子400mハードル
 準決勝
 4(1組) 為末 大 48秒46 決勝進出
 3(2組) 成迫健児 49秒00 準決勝敗退
為末選手、まさに薄氷を踏む思いの決勝進出でした。準決勝1組の為末選手は、持ち味の前半から積極的に行く…という走りは見せてくれたのですが、さすがにこの組はレベルが高すぎました。最後の直線で3人の選手に先行されてしまい、為末選手は4着でゴール。決勝進出の条件は、各組上位2名+タイム順2名で、タイムで拾われるにしてもすでにギリギリの位置です。記録的には悪くないのですが、あと2組も残っているし、半分あきらめぎみで見てました。
が、2組の3着以下は為末選手より遅いタイム。3組はかなり微妙な感じで、正式タイムが出るまでかなりヒヤヒヤしましたが、表示されてみれば48秒64。ずっとレースを見守っていた為末選手も、ほっとした笑顔を見せてくれましたねー。前回大会もそうだったんですが、為末選手ってなんだかんだいっても、けっこう運は良いような気がしますね。
成迫選手のほうは、残念ながら準決落ちしてしまいました。前半からいい走りを見せてくれたし、ラストの直線でもがんばって、なんとか3着には入ったのですが、タイムがちょっと遅すぎましたね。走りにくい1レーンだったのも、不利な条件でした。でも、初の大舞台でのレースにしては、相当いい感じで走ってくれたんではないでしょうか。次は、為末選手と2人して、決勝を走ってほしいですね。
飛び込みの日本選手権最終日、女子1m板飛び込みで西井亮子選手が2年ぶり三度目の優勝を果たし、この大会は3m板飛び込みと合わせて2冠を達成しました。そのほか、男子高飛び込みは桜井薫選手、女子シンクロナイズド高飛び込みは大槻枝美/山下美沙子組、男子シンクロナイズド高飛び込みは川口剛/毒島泰士組がそれぞれ優勝しています。

8月6日
陸上の世界選手権が開幕しました。初日は、女子3000m障害の早狩実紀選手が、日本新を出して堂々決勝へ進出。また、男子400mハードルの為末大選手、成迫健児選手が、揃って準決勝へ進出しました。
・男子砲丸投げ
 決勝
 
 ネルソン(アメリカ) 21m73
  スミス(オランダ) 21m29
  バルテルス(ドイツ) 20m99
・男子100m
 一次予選
 
(4組) 朝原宣治 10秒40 二次予選進出
 二次予選
 6(1組) 朝原宣治 10秒58 二次予選敗退
朝原選手本人も言っていたのですが、やはり今年の調子では、二次予選進出が精一杯だと感じました。というより、よくぞ一次を通過したというべきでしょうか。一番大事な試合にきっちり合わせてくる、調整力はさすがでした。が、さすがに準決に進むには、地力が足りませんでしたね。
全盛期の朝原選手の、驚異的な後半の伸びは見られませんでした。また、ここ数年目立つようになってきたのですが、今回もスタートから前半の流れがスムーズにいかないままでした。昔から、あまりスタートは得意ではなかったのですが…特にブロックからスタートすると、うまくいかなくなっています。私が陸上を本格的に見始めたころから、第一線で活躍していた選手だけに、選手生命の終わりが感じられるのが、ものすごく寂しいですね。
ただ、リレーではいい走りを見せてくれるので、アテネでは届かなかったメダルを、ぜひともここでとってほしいですね。
・女子3000mSC
 予選
 4(1組) 早狩実紀 9分41秒21=日本新 決勝進出
この種目に取り組み始めたばかりの早狩選手が大健闘。日本新を記録し、全体の11番目で決勝へ進みました。ラストでスピードアップして、前の選手を抜いていったのには驚きましたねー。彼女はとても力のある選手なのですが、1500mでは短く、5000mではちょっと長い…という感じだったので、3000mという距離が合っているのかもしれません。ハードリングなどはまだぎこちないのですが、そこを改善すればまだまだ記録は伸びそうです。
・女子800m
 予選
 6(2組) 杉森美保 2分02秒82 予選敗退
日本国内のレースでは、最初からぶっちぎってしまう杉森選手ですが、世界の中ではさすがに苦労したみたいです。ペースの上げ下げと位置どりの激しさは、ほとんど初めての経験だったようですね。どんどん経験を積んで、揺さぶりに負けない実力を、これからつけていってほしいですね。
・男子400mハードル
 予選
 2(5組) 為末 大 49秒17 準決勝進出
 4(2組) 成迫健児 49秒87 準決勝進出
為末選手は、いい感じで走れたのではないでしょうか。最初から出るのは、為末選手のレースパターン。最後で後ろの選手に抜かれてしまいましたが、予選を通過すればいいということで、ここは体力を温存したようです。4年前に銅メダルをとった力は、まだ取り戻してないみたいですけど、表情を見てるとようやく長いトンネルを抜けかけたかなーという感じがしますね。
成迫選手のほうは、レース前に足がけいれんしてしまったとか。ギリギリでも予選を通過できたのは、運が良かったですねー。伸び盛りの成迫選手といえども、さすがに初の大舞台で、緊張してしまったということでしょうか。
・男子20km競歩
 決勝
 
 ペレス(エクアドル) 1時間18分35秒
  フェルナンデス(スペイン) 1時間19分36秒
  Molina(スペイン) 1時間19分44秒
 23 谷井孝行(日本) 1時間24分17秒
 25 杉本明洋(日本) 1時間25分28秒
 29 森岡紘一朗(日本) 1時間27分08秒
・男子1500m
 予選
 13(1組)小林史和 3分51秒76 予選敗退
小林選手は、最初から先頭に立って引っぱることで、タイムを上げ、予選通過を狙ったのでしょうが…。さすがにちょっと、無理な作戦だったようです。ほかの選手に抜かれても、なんとか集団で粘れれば良かったのですが、後半は大きく引き離されてしまいました。それでも、久々にこの種目で派遣標準を突破してくれたんだし、今後に経験を生かしてもらいたいです。
・女子10000m
 決勝
 
 T・ディババ(エチオピア) 30:24秒02
  アデレ(エチオピア) 30:25秒41
  E・ディババ(エチオピア) 30:26秒00
 11 福士加代子(日本) 31:03秒75
 18 宮井仁美(日本) 31:43秒74
 21 大南博美(日本) 32:02秒38
今回の福士選手は、入賞ぐらい狙えるのではないかと思っていたのですが…。エチオピア勢の力はとんでもなく強かったです。
福士選手は、前半ずっと集団の前のほうにつけていて、調子は良さそうでした。レース中盤でペースが落ちると、すかさず先頭に出て引っぱったりして、かなり期待を抱かせてくれました。ただ、やはりそれが限度だったのかなー。後半の恐ろしいまでのスパート合戦…。あのラドクリフ選手も、途中で先頭グループから脱落してしまうし、最後はさすがの中国勢もついていけませんでしたからねー。とにかく、9000m以上走ってきて、最後であれだけ上げられる、その身体能力には脱帽です。福士選手がエチオピア勢に勝てる…とはいわないまでも、最後までついていけるようになる日は、果たしてやってくるのでしょうか?
飛び込みの日本選手権第2日、男子3m板飛び込みで寺内健選手が3年連続八度目の優勝を果たしました。寺内選手は左足かかとのケガで、先日の世界選手権出場を辞退したのですが、少し遅かったかな〜という感じですねー。弟の寺内佑選手が2位に入りました。女子高飛び込みは中川真依選手が2連覇し、2位は浅田梨沙選手でした。
ハンブルクで行われたトライアスロンのW杯で、男子は田山寛豪選手の18位、女子は上田藍選手の30位が最高でした。

8月5日
マラソンの野口みずき選手が所属するグローバリーが、商品先物取引・商品投資販売業務の自主廃業に踏み切るため、おそらく陸上部は廃部となるようです。9月25日のベルリンマラソンには、野口選手はグローバリー所属で出場しますが、それ以降は未定。まあ、アテネ金の野口選手なら、手を挙げる企業はあると思いますが…。でも、できれば安定した環境で練習させてあげたいですよねー。
飛び込みの日本選手権第1日、男子1m板飛び込みで寺内佑選手が初優勝を果たし、女子3m板飛び込みは西井亮子選手が3連覇。シンクロナイズド板飛び込みの男子は坂田芳寛/西川友章組が、女子は渋沢小哉芳/山下美沙子組がどちらも3連覇、という結果となっています。

8月4日
陸上の世界選手権開幕を目前に控え、この日、日本の有力選手が会見を行いました。残念なことに、末續慎吾選手は100mを走らず、得意の200mに専念することになったとか。やはり、100、200、リレーの3種目を走るのは、リスクが大きいということなんでしょうねー。正直、2年前のようにリレー欠場なんてことだけは避けてほしいし、賢明な選択かも。

8月3日
国際陸連の総会で、国籍に関するルール改正が決まりました。国籍を変更した選手は、新しい国籍を取得してから3年間は、その国の代表として国際競技会に出場することができなくなったそうです。もちろんこれは、アフリカの選手が中東の国に国籍を変更して出場するのを、抑止するためです。最近は、あまりに目につきすぎてましたからねー。ルールができるのが、少し遅すぎたかもしれません。私から見ると、国籍を変更するのを、まるで就職先の会社を変えるような感じで、簡単にやってしまってましたから。
ソフトボールの親善試合、日米インターナショナルマッチの第1戦が行われ、日本はアメリカに1−0で敗れました。ここのところ、アメリカに3連勝していた日本でしたが、さすがにそう毎回は勝たせてくれないようですねー。北京五輪まで、このライバル関係は続くんでしょうか。

8月1日
ハンマー投げの室伏広治選手が、世界陸上を欠場することになりました。練習で肋骨を痛めたことから、腰にまで影響が出たのが理由だそうです。今季は、大阪のグランプリ陸上も欠場。日本選手権では11連覇を達成しましたが、記録は76m台で、近年例を見ないほどの低調ぶりでした。どんなに調子が悪い時でも、必ず79mは越えていたので、今季は相当調整が遅れてるんだなーと思っていたのですが…。危惧していたことが起こってしまった…という感じです。
まあ、シドニー五輪の翌年から、ずっと世界トップレベルを続けてきた室伏選手には、そろそろ休養が必要だったのかもしれません。今季は一息入れて、来季はまた、あの豪快な投擲を見せてほしいです。

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