2005年のトピックス           10 11 12

5月31日
日本を訪れている、トリノ五輪組織委員会の会長とトリノ市長が、東京都内で記者会見を行いました。昨年からささやかれていた資金不足については、政府からの支援などで「解決した」とのこと。入場券もすでに54%を販売したそうで、売れ行きは好調のようです。
といっても、アテネのときもそうだったのですが、この種の発表というヤツは、えらくコロコロ変わるんですよねー。準備の遅れのことでも、「もう間にあわない」「いや順調だ」と二転三転。現地の新聞でも、何度絶望的な観測が流れたことか…。しかも、新聞だけじゃなくて、組織委やIOCの言葉でさえそうでしたから。
まあ、それでもちゃんと大会は開催されたし、日本にとっては最高に近い結果だったんで、きっと今回もなんとかなるんでしょうね。つーか、なんとかなってもらわないと困りますから。
モーグルの上村愛子選手が、「team−aiko」でメダルを狙いにいくそうです。チームには、トレーナーや上村選手のお母さんも参加して、サポートしていくとか。余分なことを考える必要もなく、一直線にトリノを目指せる体制が整ったようです。
その上村選手は、現在新しい技に挑戦中。昨季は3D系の技を成功させて、久々にW杯優勝を果たしましたが、来季は横に2回転する技も取り入れるそうです。これって、ヘリコプターの2回転ということですよね。二つとも決まれば当然「メダルが狙える」のですが、それを上村選手本人が口にした…ということは、練習がかなり順調にいってるのかなー。難しい技にはミスがつきものなので、早く安定させて、シーズンが始まるころにはノーミスで滑れるようになってればいいですね。

5月26日
トリノ五輪のショートトラック会場で、どうやら日本の代表は、本番直前まで滑ることができないようです。テスト大会の欧州選手権はすでに終了。欧州選手権ゆえ、当然ヨーロッパの国々以外は参加できなかったし、今年の11月に予定されていた五輪会場でのW杯も、急遽「会場未定」になってしまったとか。
これって、地元イタリアの思惑が見え隠れ…ではなく、ほとんど丸見えになってるような気がします。ショートトラックが強いのは、まずは韓国、中国のアジア勢(日本はとても及ばないです)、それからアメリカ、カナダの北米勢。で、唯一ヨーロッパ勢で強いのが、イタリアなんです。ほかのヨーロッパ各国は弱いから、本番会場で滑らせても問題なし。そこで、テスト大会を欧州選手権にして、ほかの強国を閉め出してしまった…というので、間違いないでしょう。
日本がメダルをとれる可能性は高くないと思いますが、それでも可能性はゼロではないし、本番会場を経験できないのはつらいですよねー。日本の関係者は、小さい大会でも強引に参加するとか、秋に視察だけでもしておくとか、いろいろ打開策を講じているようですが、このままでは視察のみに終わりそうな気配ですね。
日本代表には、12月の全日本距離別と全日本選手権の、成績上位者が選ばれることに決まったとか。選手たちが、ちゃんと実力を発揮できるようであればいいんですけど。

5月24日
日本オリンピック委員会は、トリノ五輪の日本選手団長として、遅塚研一JOC常務理事(日本アイスホッケー連盟副会長)の起用を発表しました。2003年の青森アジア大会で団長を務め、好成績を残したことが今回の人事につながったようです。また、副団長は池上三紀氏(全日本スキー連盟常務理事)、総監督は亀岡寛治氏(日本スケート連盟理事)となるそうです。
で、団長となる遅塚氏によると、メダル獲得目標は「5個以上」なのだとか。JOCの分析では、金…難しい、銀…スピードスケートの女子団体追い抜き、銅…スキーのジャンプ団体、フリースタイルスキー、スノーボード、スピードスケート男女、フィギュア女子で有望、ということです。金が難しいというのは同感ですが、最初から目標がゼロなのも、なんだかなーという感じはするのですが…。まあ、冷静に見ればこんなものでしょうか。
ただ、私としては、スピードスケート男子500mが、まだ一番金の確率は高いような気がします。今年の世界種目別選手権では加藤条治選手が1位、清水宏保選手が2位という結果で、2人が代表に内定しているんですよね。この種目の第一人者・カナダのウォザースプーン選手は、大舞台に弱いことで有名だし、日本には2人以外にも有力選手はいるし、一番調子のいいだれかが結果を出せれば「ひょっとしたら…」とは考えますね。
また、唯一の「銀メダル候補」であるスピードスケートの女子団体追い抜きは、メダルの可能性はかなり高いでしょう。W杯でも好成績を挙げているし、ここは予想どおり、銀をゲットしてもらいたいです。
ジャンプ団体は、今季の結果から見れば厳しいでしょうね。ただ、あまりに急激に順位が下がってしまったので、その原因をきっちり見極めて対処すれば…とは思いますが…。それにしたって、世界選手権の団体で8位にも入れなかったわけですから、期待はしないほうがいいと思いますね。
フリースタイルスキーというのは、当然のことながらモーグルの上村愛子選手のことですね。昨シーズンは久々にW杯で優勝したし、メダルの可能性はあるとは思うんですけど、正確なところは五輪シーズンが始まってみないとわからないです。上村選手の場合、ほかの選手に先んじて取り入れた3D系のエアのおかげで、好成績を収められるようになったわけですが、来季は当然、ほかの選手も挑戦してくるでしょうし…。上村選手がさらに上の難度の技を習得し、完成度も上げてこられれば、銅より上も狙えるかなー。そうでなければ入賞ラインに下がることもありえるし…。でも、上村選手については純粋に楽しみにしております。
スノーボードは、男女のハーフパイプが有力ですが、できればどちらかでメダル1個はとってほしいですねー。男女とも有力選手が複数いるので、だれか1人くらいは…と思います。
で、最後にフィギュア女子ですが、これもシーズンが始まってみないとわかんないです。ルールが毎年のように細かく変化してるし、技のレベルが変更されれば、出る点数も全然違ってきますから…。希望でいうなら金をとってほしいんですけど、さすがにちょっと難しいかなぁ…。シーズン前半のグランプリシリーズが終われば、少しは状況が見えてくるんじゃないかと思います。
まあ、これ以外にも「ひょっとしたら」メダルまで行くかもしれない種目はあるし、こちらの予想を覆す大活躍を収めてくれればいいですねー。

5月21日
スキー・ジャンプの船木和喜選手が、長野の白馬ジャンプ競技場でトレーニングを開始しました。トリノの対策として、追風を念頭に置いた練習を行ったとか。トリノのジャンプ台って、追風が吹くんですねー。高地で追風となると、通常のジャンプ台とは対策も異なってくるでしょうか。
昨シーズン、久々にW杯で優勝した船木選手ですが、まだまだ安定感には欠けているのも事実。このオフのトレーニングがうまくいって、少しでも調子が上向いてくれればいいんですけど。

5月18日
フィギュアのシーズン前半に行われるのが、グランプリシリーズ全6戦。各国の有力選手が2試合ずつ出場し、合計ポイントで上位6名(組)までに入れば、そのあと行われるグランプリファイナルへの進出が決まります。ファイナルは「トリノ五輪の前哨戦」でもあり、日本選手にとっては表彰台に乗ることが、すなわち五輪切符を掴むことを意味します。
というわけで、とりあえずは出場する大会で上位(最低でも3位以内)に入り、ファイナルに出場したいところ…なのですが、有力選手が分散するため、簡単に3位以内に入れそうなところもあれば、かなり難しいところもある…といった具合になってます。
初戦のアメリカ大会には恩田美栄選手が出場しますが、ここには地元のコーエン選手、クワン選手がエントリーしているので、この2人の上に行くのはちょっときついでしょう。ただ、クワン選手は出場しない可能性もあるので、そうなるとほかの対抗馬はハンガリーのセベスチェン選手くらい。状況によっては2位に入ることもありそうです。
2戦目のカナダ大会には、村主章枝選手と中野友加里選手がエントリー。強力なライバルとしては、まずはイタリアのコストナー選手が挙げられます。今年の世界選手権では銅メダルをとっているし、自国での五輪を控えてるとあって、今「売り出し中」って感じですから。ほかに、地元カナダのロシェ選手、ファヌフ選手、それから最近評価が急上昇しているフィンランドのポイキオ選手もあなどれない存在です。ただ、村主選手の優勝のチャンスは充分にあるので、ここは彼女のがんばりを期待したいです。
3戦目の中国大会は、かなりの激戦区となってしまいました。日本の荒川静香選手、安藤美姫選手、浅田真央選手、世界チャンピオンのロシアのスルツカヤ選手に、クワン選手と、ものすごい顔ぶれ。クワン選手が出ない場合は、日本選手vsスルツカヤ選手ということになるのでしょうか。昨年のこの大会では、スルツカヤ選手にやたら高得点が出ていたし、その優位は動かなさそうです。ただ、ここで荒川選手か安藤選手が優勝すると、その分ぐっと評価も上がってくるので、がんばりどころでしょうねー。また、台風の目になりそうなのがグランプリ初参戦の浅田選手。昨シーズンはジュニアタイトルを総なめにし、格の違いを見せつけましたが、果たしてシニアの大会でどのくらいの評価が得られるか…。上位勢に割って入ると、おもしろいことになりそうです。年齢制限でトリノ五輪には出られないんですけどねー。
4戦目のフランス大会は、中国大会に引き続き荒川選手と浅田選手が出場します。連戦でハードな日程のうえ、コーエン選手、ロシアのソコロワ選手と、手強い相手が揃ってるのがツライ…。グランプリではやたら強いコーエン選手が、ここは勝ちそうな感じです。が、日本の2人にも充分チャンスはあるし、トリノのことを考えても、荒川選手には最低でも2位には入ってほしいですね。
こんなに長く書くつもりじゃなかったのに、やめられなくなってしまった…。お次は5戦目、ロシア大会です。日本から出場するのは、安藤選手と恩田選手。当然、地元のスルツカヤ選手も出場してくるので、やはり優勝は彼女のものでしょう。ほかには、同じくロシアのボルチコワ選手、前出のセベスチェン選手、ポイキオ選手も手強い存在です。あと、アメリカのエミリー・ヒューズ選手もちょっと楽しみ。前回の五輪で金をさらった、サラ・ヒューズ選手の妹さんなんですよね。どんな選手なのか、よく見てみたいです。というわけで、厳しいロシア大会ですが、日本の2人にはなんとか表彰台に乗ってほしいです。
ラストは日本のNHK杯。村主選手、安藤選手、太田由希奈選手が出場します。海外の有力選手は、コストナー選手、ボルチコワ選手ぐらいかな。やっぱ、日本の大会では日本人に勝ってほしいですねー。地元の大会では点が出やすいのが歴然としている以上、外国勢に優勝をさらわれちゃいけないですから。期待は村主選手か安藤選手ですが、昨シーズンのほとんどをケガで棒に振った太田選手の復活も見届けたいです。
とまあ、昨季の成績をもとにざっと書いてみましたが、シーズンによってがらっと成績が変わるのもフィギュア。あっと驚く新星が出てくるかもしれないし、結局は始まってみないとわからないでしょうね。
それから男子のほうですが、トリノの枠はたったひとつしかないんですね。本田武史選手、高橋大輔選手、織田信成選手のだれかが代表になるのでしょうが、これは蓋を開けてみないとわからない…という感じです。世界選手権では演技中のまさかのケガで棄権となった本田選手が果たして復活できるのか、安定感に甚だしく欠ける高橋選手はその欠点を克服できるか、といったところ。そして、この2人のなかに、世界ジュニアの優勝で頭角を現した織田選手が、どこまで割って入れるのかも楽しみですねー。

5月17日
スキーのジャンプ陣は、トリノ五輪の直前にフランスで高地合宿を行うらしいです。トリノが高地だということで、本番前に身体を慣らしておくのが目的のよう。2000m級のところで、1週間程度過ごすようです。
昨季はシーズン中盤から、日本勢の成績が一気に下がってしまいましたが、これは選手が体調を崩したことも大きな原因だったとか。五輪前には、そういうことがないようにしてほしいですねー。

5月15日
モーグルの上村愛子選手が、トリノ五輪に向けてトレーニングを開始しました。すでに代表に内定しているということで、まっすぐにトリノを目指せている…という感じがします。昨シーズンは久々にW杯で優勝できたし、いい感じでオフを過ごせるんじゃないでしょうか。
成績が上向いたのは、難度の高いエアを取り入れたからですが、来季はライバルたちも同様のエアにチャレンジしてくることは必至。そこで上村選手は、さらに難しい技に挑むのだとか。スポーツニュースでも、トランポリンでエアの練習をしているところが紹介されてました。
このあと、水上や雪上で練習を重ねていくわけですが、シーズンが始まったとき、どこまで完成しているかどうか…ですね。五輪までに安定させようとするなら、シーズン開始時点である程度は形になっていてほしいですからねー。

5月9日
スピードスケートの清水宏保選手が練習を公開しました。前回の五輪で2位に終わったことが相当悔しかったらしく、トリノでは「やるからには勝つ」と宣言したとか。今年3月の世界距離別選手権で加藤条治選手が優勝し、国内にも強力なライバルができたことで、かなりモチベーションは高まっているようです。狙った大会にはぴたりと照準を合わせてくる清水選手だけに、トリノでどういう滑りを見せてくれるか注目したいですね。
それから清水選手は、トリノで現役生活を終える…とは考えていないもよう。自分の身体のことを熟知していて、高い意識を持って体調管理をする選手なので、やる気さえあれば、あと何年かは世界の第一線で活躍できるんではないでしょうか。
スキーのジャンプ、複合陣が、東京都内の国立スポーツ科学研究所で、トレーニングを開始しました。2月のノルディック世界選手権では、予想以上の惨敗を喫したジャンプ陣は、さすがに気合いが入っていたようです。
ホープ・伊東大貴選手は、昨シーズンの一番大事な試合にピークを持ってこられず、いかに1シーズンを戦うか、学んだことも多かったそう。ここ数年、ジャンプの若手は出てきてはいるのですが、最初はよくても徐々に下降線をたどる…ということが多いんですよね。伊東選手でそういう流れを断ち切ってもらって、ほかの若手もあとに続いてほしいです。
また、昨シーズン、久々にW杯優勝を果たした船木和喜選手は、「初心に帰る」と意欲的。長野での大活躍のあと、「今のままではだめ」と外国勢のようなフォームに変更したものの、成績は下がる一方だったんですね。それが、今季途中で「昔のフォームに戻そう」と決意したとたん、見事にW杯優勝ですから…。理論的には外国勢をまねたフォームのほうが遠くへ飛べるらしいのですが、やっぱ理論だけではないということでしょうか。その後の成績はそれほど良くはなかったんですけど、少なくともシーズン前半のどん底の状態からは抜け出しつつあるように思えました。
トリノまでの期間を考えれば、日本チームにそう多くを望むことはできないでしょうが、少しでも上向いてくれることを願います。

5月8日
フィギュアの荒川静香選手が、この日、アメリカへ出発しました。先日も安藤美姫選手が渡米しましたけど、荒川選手も同様に、プログラム作りなどを行ってくる予定です。プログラムの出来・不出来がトリノでの順位を左右しかねないだけに、今が大事なところですよねー。荒川選手の言葉によると「今年は変わったものにチャレンジしたい」とのこと。昨年の世界選手権優勝から一転、今年は9位と思いもよらない順位になってしまいましたが、その分、開き直ってやれるんではないでしょうか。
ただ、今季用の靴が足に合わず、当面は以前の靴を使うそうなのですが、それはちょっと気がかりですね。昨シーズンの不振は、原因の大部分が「靴が合わない」ということでしたからねー。早くこの問題が解決すればいいんですけど。

5月1日
フィギュアの安藤美姫選手が、新たな練習拠点とするアメリカへ向けて出発しました。五輪まで1年もないこの時期に、コーチを変えるのはかなり冒険ですが、結果が吉と出るよう祈っておきます。あと、カナダでは新プログラムも作ってくるそうなので、彼女の欠点をカバーできるような作品に仕上がることを期待します。

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