2005年のトピックス           10 11 12

12月26日
全日本スキー連盟より、数人のトリノ五輪代表が発表されました。新たに決まったのは、ノルディック複合の5名全員と、アルペン男子の追加1名、モーグルの男女各1名です。スキーもジャンプはまだだれも内定していないし、ほかにも若干未定の部分はありますが、かなり代表が出揃ってきた感じです。
この日発表された選手は次のとおりです。
ノルディック複合…高橋大斗(土屋ホーム)、渡部暁斗(白馬高)、小林範仁、北村隆(以上東京美装)、畠山陽輔(秋田ゼロックス)。
アルペン男子…湯浅直樹(北海道東海大)。
モーグル男子…尾崎快(青稜高)。モーグル女子…伊藤みき(近江兄弟社高)。

12月19日
スピードスケート・ショートトラック、五輪最終選考会兼全日本選手権の最終日、競技を終えてトリノ代表が出揃いました。
この日行われたのは、男女の1000mと3000m。男子1000mは寺尾悟選手、3000mは西谷岳文選手が勝ち、女子は2種目とも神野由佳選手が1位、田中千景選手が2位でした。この結果、女子は神野選手がすべての種目を制し、4大会連続四度目の総合優勝。男子は前日と合わせて3種目をとった寺尾選手が、2年連続九度目の総合優勝となりました。神野選手はここ数年、国内では無敵の状態で、1人突出した感じなのですが、外国勢にはちょっと歯が立たなかったんですよね。トリノでは、なんとか勝負をしてほしいですね。
なお、トリノ代表は以下のとおりです。
男子…寺尾悟(トヨタ自動車)、西谷岳文(サンコー)、末吉隼人(早稲田大)、藤本貴大(山梨学院大)、有野美治(山梨学院大研究員)。女子…神野由佳(綜合警備保障)、田中千景(岡谷東高教)、勅使河原郁恵(赤塚)、小澤美夏(阪南大)、山田伸子(福岡柔整)。

12月18日
スピードスケートのショートトラック全日本選手権、第1日は500mと1500mが行われ、男子は寺尾悟選手、女子は神野由佳選手が2種目ともに制しました。男子の西谷岳文選手は、1500は2位でしたが500は失格。女子は田中千景選手が、どちらも2位に入りました。
この結果、男子の寺尾選手、女子の神野選手が五輪代表に決定。まず確実…と思われていた2人が、順当に切符を手にしたという感じです。残りの男女各4人は、19日に決まります。
ノルディックスキーのW杯、複合個人第5戦後半のジャンプと第6戦が行われ、高橋大斗選手が第5戦で今季最高の9位に入りました。この試合は、前半がクロスカントリー、後半がジャンプと通常とは逆の順番で行われ、苦手の距離では36位だったのですが、得意のジャンプは100mと91.5mを飛んで、一気に1桁順位まで浮上しました。せめて距離でもう少し上につけられれば、表彰台も見えてくるんですけどねー。なお、北村隆選手は前半37位で、この日の2回目には進めませんでした。複合は相変わらず、高橋選手頼みのようです。
また、個人第6戦スプリントの高橋選手は、前半のジャンプこそ7位につけたものの、苦手のクロスカントリーで14位にまで順位を下げています。
ノルディックスキーのW杯、ジャンプ個人第7戦で葛西紀明選手が今季自己最高の19位に入りました。ただ、正直、喜んでいいのか微妙な順位です。2年前のシーズンには表彰台に何度も乗っていた葛西選手が、シーズンも中盤になってようやく19位なんですから…。残りの日本勢はというと、伊東大貴選手は1回目36位で2回目に進めず、岡部孝信選手は腰痛で棄権、東輝選手と一戸剛選手は予選落ち、伊藤謙司郎選手はスキー板が長すぎたて失格…。やはり、とても喜べないようです。
こちらは同じジャンプでも、国内の吉田杯です。1回目に宮平秀治選手が93mを飛んでトップに立ち、2回目は悪天候のため中止となって、そのまま宮平選手の優勝となりました。
前日の試合に続いての優勝で、宮平選手のW杯復帰が決定。山田大起選手もコンチネンタル杯(W杯より1ランク下の試合)からW杯への昇格が決まりました。2人には、五輪出場への道も開けてきましたね。
また、原田雅彦選手はコンチネンタル杯出場が決まって、五輪出場へわずかながら望みを残しました。ただ、船木和喜選手はそのメンバーからももれて、トリノはもはや絶望的。長野であれほど強かった若きエースは、もう戻ってこないのでしょうか…。
17日にカナダで行われたノルディックスキーのW杯、クロスカントリーの男子30kmクラシカルで、蛯沢克仁選手が健闘を見せ15位に入りました。駒村俊介選手は35位で、女子15kmクラシカルの石田正子選手は23位、曽根田千鶴選手は34位でした。
同じく17日にカナダで行われた、スノーボードのW杯のパラレル大回転。女子の家根谷依里選手と竹内智香選手は決勝トーナメントに進んだものの、1回戦で敗れて、家根谷選手は10位、竹内選手は11位となりました。常に1回戦を突破できるようになれば、五輪でも上位が期待できるんですけどねー(メダルという意味ではなく)。男子の日本勢はだれも決勝トーナメントに進めず、最高で戸崎啓貴選手の34位でした。
フリースタイルスキーのW杯、モーグル第2戦、18歳の伊藤みき選手が16位となり、畑中みゆき選手は予選落ちしました。すでに五輪行きを決めている上村愛子選手はこの試合を欠場、里谷多英選手は痛めている左肋軟骨が完治していないのか、エントリーはしたものの出場は見送りました。日本の元エースの復活はなるのでしょうか。
また、男子は尾崎快選手が10位、上野修選手15位で、附田雄剛選手、野々垣宏記選手、益川雄選手は予選落ちしています。

12月17日
フィギュアのグランプリファイナル、女子シングルで浅田真央選手が見事に優勝を果たしました。フリーではスルツカヤ選手(ロシア)が追い上げるかと思いましたが、そんな不安を抱いてるのは見ているこちら側だけだったようで…。「跳びたい」と言っていた二度のトリプルアクセルこそ実現しませんでしたが、それ以外はほとんどパーフェクト! 前半にコンビネーションジャンプが入らなかったので、ちゃんと後半に入れてこられるか少しだけ心配だったのですが、それも楽々成功させてしまって、もう脱帽という感じです。正直、フリーでもトップをとれるとは、あまり思ってなかったですね。
スルツカヤ選手もいい演技で高得点を挙げたのですが、浅田選手には及ばず逆転はなりませんでした。なんでも演技後には「得点が低すぎる」ともらしていたとか…。確かに、ここ最近の点と比べれば低いかもしれませんが、昨シーズンから彼女が出場してきた主な大会の開催地は、自国ロシアと友好国の中国のみ。ちなみに、昨季に出たグランプリは中国杯とロシア杯で、ファイナル開催地は中国、世界選手権はロシアでした。今季もグランプリは同じく中国杯とロシア杯で、いわば「高得点が出て当たり前」の大会ばかりなんですよね。それゆえに出た高い点を「どこでも出せる点数」だと思っているのでは? もちろん彼女はすばらしい実力の持ち主だし、世界チャンピオンになったのも納得なのですが、点数だけは高すぎだと常々思っていたので。
なんだか、話がずれてしまいましたが、いずれにせよ「目立つミスのなかったスルツカヤ選手」に、浅田選手が勝ったのは大きいです(当然、浅田選手にも地元の利はあったわけですが)。これまで「常勝」と思われてきたスルツカヤ選手も、負けることがある…。それを知らしめてくれたことは、トリノに臨む日本人選手にとってもプラスになるのではないでしょうか。浅田選手自身が出られないのは、とても残念なことですが…。
3位には逆転で中野友加里選手が入りました。トリプルアクセルはダブルにダウングレードされてしまい、3回転ループも1回転になってしまいましたが、それ以外はミスなく、歯切れが良くて、なにより勢いにのった感がありました。
安藤美姫選手は3回も転倒したうえ、生気がまったく感じられない演技で4位に落ちました。なんだか、どんどん悪くなっていくような気がするのですが…。もちろん連戦の疲れはあるかもしれませんが、最初のロシア杯はともかく、NHK杯とファイナルは日本での開催だし…。あと、ジャンプの成功率が昨シーズンと比べてかなり悪くなった理由は、どう考えても体重増にあると思うんですよね。太りやすい体質なのかもしれないけど、あのウエストの太さはちょっと考えられないです。これから相当気合いを入れて絞っていかないと、厳しいような気がしますね。
5、6位は昨日と変わらず、ソコロワ選手(ロシア)、シズニー選手(アメリカ)の順でした。
男子は、前日首位のランビエール選手が大差で優勝。高橋大輔選手が3位に入り、日本男子で初めてファイナルの表彰台に乗りました。最初の4回転をもう少しまともに降りていれば、2位のバトル選手を逆転することもできたのですが…。バトル選手の出来が良くなかっただけに、高橋選手には上に行ってほしかったですねー。ただ、今季は本当に大崩れしなくなってきたし、昨季から比べると成長したなーと…。ここは3位に入ったことを讃えたいです。
織田信成選手はフリーは5位でしたが、総合ではショートの貯金が効いて4位にとどまりました。やはり、フリーでトリプルアクセルが1回転になってしまったのが悔やまれます。成功したときは、本当に安定感のあるジャンプなんですけど、3アクセルに関してはまだ「必ず成功する」ところまでは行ってないみたいですねー。でも、あれだけ質の良いジャンプができるんだから、成功率も上げてってくれると期待しておくことにします。
なお、アイスダンスはフリーダンスが行われて、本命のナフカ/コストマロフ組(ロシア)が3連覇を達成。2位はグルシナ/ゴンチャロフ組(ウクライナ)、3位はデュブレイユ/ローゾン組(カナダ)でした。また、ペアも順当にトトミアニナ/マリニン組(ロシア)が優勝し、2位はショート4位から順位を上げた張丹/張昊組(中国)、3位はサフチェンコ/ショルコビー組(ドイツ)となっています。

12月16日
東京で、フィギュアのグランプリファイナルが開幕しました。これは、世界6か国(アメリカ、カナダ、中国、フランス、ロシア、日本)で行われたグランプリシリーズの、最後を飾るものです。選手はシリーズのうち2試合に出場し、上位の成績を収めた6名(組)のみファイナルに進出することができます。日本からは、女子シングルに浅田真央、中野友加里、安藤美姫の3選手が、男子シングルに高橋大輔、織田信成の2選手が出場しました。
ただ、テレビ局の「世界一決定戦」という煽り文句とはうらはらに、少々寂しい顔ぶれになってしまったのが残念です。特に女子は、実力者のコーエン選手(アメリカ)が、ケガでフランス大会の1試合しか出場できなかったため、ポイント不足でファイナルには進出ならず。荒川静香選手は、調子が良くないなか高得点を挙げたものの、レベルの高い試合にばかりエントリーしてしまったせいで、こちらもファイナルには届かず。村主章枝選手はケガで出遅れ、コストナー選手(イタリア)は2試合とも崩れて下位に沈み、クワン選手(アメリカ)はいつもどおりのグランプリシリーズ回避(ケガもあるようですが)と、有力選手がのきなみ外れる事態になってしまいました。男子もライサチェク選手(アメリカ)と、その補欠のジュベール選手(フランス)も欠場となって、出場選手は5人に…。正直、東京まで遠征しなくて良かった…と思ってしまいました。
とまあ、前置きはこのへんにして、まずは女子シングルのショートプログラム。予想どおり浅田真央選手とスルツカヤ選手(ロシア)の一騎打ちとなり、ほぼノーミスで演技した浅田選手がトップに立ちました。唯一惜しかったのは、ダブルアクセルの着氷くらい。ミスともいえないほどのもので、大舞台での心臓の強さを改めて思い知らされた感じです。もちろん、スルツカヤ選手が時差ボケもあってかなり調子が悪く、特に3回転のフリップが2回転になってしまった…というのが大きいんですけど。それにしても浅田選手が上に行くとは思ってませんでしたねー。
安藤選手は最後のスピンで手をつくミスを犯して3位。今季は特に感じる滑りの重さが、一段とひどくなったみたいな気がしました。
中野選手はなかなかの演技で、僅差の4位につけました。コンビネーションジャンプの差もあって、安藤選手よりは下になりましたが(安藤選手は基礎点の高い3ルッツ−3ループ、中野選手は3ルッツ−2トウループ)、PCSはほとんど変わらなくなってるんですよね。PCSとは、おおざっぱにいうと表現点になるんですけど、ある意味、その選手自身の基礎点(国際的な評価)みたいなものでもあるんですよね。国際大会で常に上位に入る選手は、これが高いから少々ミスをしても落ちないわけで…。つまり、中野選手は着実に評価を上げつつあるということになります。まあ、安藤選手のほうが点を下げてるのと、日本開催というのもありますが。
以下、5位はソコロワ選手(ロシア)、6位はシズニー選手(アメリカ)となっています。
男子シングルのショートは、1位が世界チャンピオンのランビエール選手(スイス)、2位がバトル選手(カナダ)で、3位に高橋選手、4位織田選手、5位サンデュ選手(カナダ)という順になりました。ランビエール選手は4−3のコンビネーションジャンプを決めたのが効いて、2位以下に大差をつけての首位発進。高橋選手はミスのない演技でしたが、織田選手は3フリップの着氷で手をつき、高橋選手にかなりの差をつけられてしまいました。いつも安定したジャンプを見せてくれる織田選手も、さすがに力が入ったのでしょうか…。
なお、ペアのショートはトトミアニナ/マリニン組(ロシア)が、アイスダンスのオリジナルダンスはナフカ/コストマロフ組(ロシア)が、順当にトップに立っています。
全日本スキー連盟より、トリノ五輪代表に新たに内定した14名の選手が発表されました。男子スノーボードなど、注目競技の代表も、かなり枠が埋まってきた感じですね。
代表選手の氏名は次のとおりです。
アルペン男子…皆川賢太郎(アルビレックス新潟)。アルペン女子…広井法代(アルビレックス新潟)、星瑞枝(日体大)。
クロスカントリー男子…恩田祐一(アインズ)。クロスカントリー女子…夏見円(JR北海道)、福田修子(弘果ク)。
モーグル男子…附田雄剛(リステル)、上野修(リステル)。
スノーボードハープパイプ男子…成田童夢(キスマーク)、中井孝治(アメリカン)。同女子…中島志保(ヨネックス)、伏見知何子(UPスポーツ)。
スノーボードアルペン女子…竹内智香(小島アカデミー)、家根谷依理(北海道東海大)。
冬のスポーツシーズンも前半は終了。年明けからは五輪へ向けて一直線…という感じになってきましたが、ここへきてジャンプ勢のあまりの不振に、全日本スキー連盟では派遣見送りすら考えているとか…。連盟の会長がそう語ったとのことですが、確かにシーズンが始まってから今まで、だれもW杯1桁順位をとってないですからねー。極度の不振にあえぎ、世界選手権の団体ではついに予選落ちすら喫してしまった昨シーズンでさえ、ここまで悲惨な成績じゃなかったですから。さすがに派遣ゼロという事態はないとは思いたいのですが、どん底の状態で派遣しても…というのもわかるし…。できれば年末年始のジャンプ週間で、いい成績を挙げる選手が出てきてくれれば問題はないんですけど。

12月2日
予定をなんとかかんとか調整して、フィギュアのNHK杯を見に行ってきました。女子シングルショートプログラムは、いろんな意味で波乱が起こった…という感じです。まさか、日本人3人の一番上に中野さんがくるとは思わなかったなー。今年は夏から評判が良かったし、スケートカナダで表彰台に上がって、一気に評価もつり上がったみたいですね。実際、彼女の演技のときが、場内が一番盛り上がってました。特に、高速ドーナツスピンはすごかったです。巻き足は相変わらずでしたが、それでも点が出るようになったのはうれしいですねー。
村主さんは、少なくともスケートカナダよりは良かったと思うのですが、やはり好調時と比べると、スピード不足の感は否めませんでした。プログラム自体も、昨年のほうが良かったように見えるのは…滑り込みが不足して、まだ「自分のもの」になっていないからでしょうか? 期待して見てたから、よけい残念だったのかもしれませんね。今月末の全日本までに、もう少し取り戻してくれるといいのですが…。
安藤さんは、めずらしくジャンプでミスしちゃいましたね。普通なら、コンビネーションジャンプは3ルッツ−3ループなのですが、なぜか基礎点がかなり落ちる3ルッツ−2トウループに変更。さらに失敗と、とっても悪いパターンにはまってしまいました。直前の6分間の練習で、3−3があまりうまく降りられてなかったから、急遽変えたのだと思いますが…。彼女の場合、ジャンプでアピールしていかないと、見栄えがしないんですよね。いつも感じる「重さ」も相変わらずで、ああいうのは一番改善しにくいんでしょうね。ただ、ビールマンスピンを速く回れるようになってたし、スピンに関しては印象が良かったです。
というわけで、取り急ぎ日本選手の感想のみ。明日は男子のショートもあるので、こちらも楽しみです。

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